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「風間くん対策はベルトより高めを打つ!」“プロ注目右腕”風間球打との再戦、3日前ノーヒットの帯広農はこう修正した《夏の甲子園》
posted2021/08/15 17:30
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
KYODO
仕切り直しの甲子園デビュー戦は9回7安打2失点だった。
今大会注目度ナンバーワン投手・風間球打(明桜)が1回戦の帯広農戦に登場。序盤に2点を失ったものの、要所を抑えて完投勝利を挙げた。
「ノーゲームになった試合ではノーヒットに抑えていたんですけど、今回はそううまくいかないだろうなと思っていました。余裕を持って臨んだのがよかったのかもしれない」
自己採点は60点。
本調子でなかったのはストレートが狙われ、さらに変化球でうまくストライクが取れなかったからである。1点リードの3回に同点打を浴び、4回表にも2死三塁から適時打を許した。一時は勝ち越されている。
それでも結果的に抑えられるところが、風間が大会ナンバーワン投手と騒がれる所以だ。県大会で157キロを計測したストレートのスピードだけではなく、それこそプロ野球のローテーションピッチャーのような修正能力は、風間が持つ才能だ。
特に試合終盤は、ストレートで押して、スライダーでかわすのではなく、ストレートを意識的に高めに投げ込み、フォークとのコンビネーションを使うようになった。スタイルチェンジは見事というほかなかった。
4番を変更した帯広農「ベルトより高めを打つ!」
もっとも、風間が相手打線を圧倒できなかったのは、この対決が一時はノーゲームになり、それから2日間空いていたことが多分に影響している。
3日前の12日、明桜が2回までに5点を先行し、風間は4回を無安打無失点に抑えたものの、途中から強まった雨により試合は中断。そのままノーゲームとなった。
5―0の完勝ペースとも言えた試合展開がリセットされたこと、相手打線が風間の球筋を知った上で、この日を迎えていたこと。ノーゲームをうまく利用したのが帯広農だった。
帯広農はこの日、前回からスタメンを変えてきていた。4番に1年生のスラッガー干場雄心を起用。4番だった佐伯柊を3番、3番の清水椋太を2番に上げている。つまり、チームの中心となる打者の打順を一つあげることで、攻撃的に仕掛けてきたのだ。
帯広農の前田康晴監督はこう証言している。