「チャンスをいただいたので、修正して臨みました。打順の変更は3番の佐伯にたくさんの打席に立たせたいと本人とも話をして決めました。早い段階で仕掛けよう、と。風間くん対策はベルトより高めを打つということ。いろんな球を打つのではなく絞って、それぞれが狙ってくれたと思う」

　3回の同点は、まさに、そんな積極性にしてやられた形だった。風間は先頭の佐藤敦基に四球を許す。続く9番の谷口純也にはバントを失敗させて1死を取ったものの、続く1番の西川健生に左翼前安打を浴びると、打順をあげた清水に適時二塁打を許したのだった。

　後続を連続三振に切ってとったのは圧巻だったが、4回表には振り逃げの走者を許すと、送りバントで二進。2死を取ってから8番の佐藤敦は一塁ライナーに仕留めたかに見えたが、一塁手がグラブに収められず適時打となった。帯広農打線の積極的な攻めにしてやられたのだった。

「（佐伯の三振は）一番いいボールだった」

　しかし、そのままズルズルとはいかなかった。

　明桜・輿石重弘監督はこう振り返る。

「うまく先制できたんですけど、追加点を取れないまま進んだ。その中で、風間はストレートに張られていた。リードされたことは想定内だから慌てるなと言いましたが、12日の試合ではリードしていたので、ちょっと慌てたところがありました。風間には途中からストレートを高めに投げるように指示しました。うまく投げてくれたと思います」

　ストレートを張られているなら、意識的に高めに投げることで、力で押していく。狙った高めには勢いがあり、それがファールを誘った。一方で、そのストレートも強弱をつけて投げ込んでいたのが印象的だった。

　3回に同点に追いつかれた直後、3番の佐伯、4番の干場を連続三振に切ってとっているが、このとき、佐伯には最速の150キロを投げ込んだ。「（佐伯の三振は）一番いいボールだった」と振り返っている。

　ただ、この力の入れたボールを多投しないのだ。ストレートはこの日、佐伯に投げた150キロが最速で、それ以外は144キロ近辺を投げつつも、138キロの抜いたボールもいくつかあった。そして、後半からはフォークを多投した。

　風間はこの日のピッチングをこう振り返っている。

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