「クリが一発でバントを決めてね。終盤はああいった1つ1つのプレーが勝ちにつながってくる。自分の打席は頭の中でどうしたらいいか、しっかり整理した上で入れたので良かったと思います。外野手が1人、内野に来て。初球から振りに行こうと……」

　こう決めた初球は外角低めへのスライダー。迷うことなく振り抜いた打球は、前進守備の外野手の頭を越えるサヨナラ打となって決着をつけた。

またも綱渡りの勝利だった

　またも綱渡りの勝利だった。

　3回に2点を先制したものの、満を持した先発・田中将大投手（楽天）が直後の4回に米国打線に捕まった。メジャー通算218本塁打のトッド・フレージャー内野手のタイムリー二塁打を含む3安打に2つの四死球であっという間に逆転を許した。その裏に坂本勇人内野手（巨人）のこの試合2本目の二塁打で同点に追いついたが、5回に落とし穴が待っていた。

「慣れない中継ぎを彼にさせてしまっている負担はある」

「青柳にはイニングの頭からいってもらいたかったので、いい形で渡せたと思うんですけど、慣れない中継ぎを彼にさせてしまっている負担はある」

　投手陣を預かる建山義紀投手コーチがこう振り返った青柳晃洋投手（阪神）への継投。3番のT・オースティンを挟んで左打者が2人だけに、4回2死三塁から田中を好救援した左腕・岩崎優投手の続投という選択肢もあったはずだ。

　ベンチには第2戦で中継ぎとして2回を無失点に抑えた伊藤大海投手（日本ハム）もいた。また結果的にはこの日の初登板で復活の力投を見せた千賀滉大投手（ソフトバンク）という選択肢もあったはずだが、ベンチが指名したのは、慣れない中継ぎ登板もあり、第1戦でリリーフに失敗した青柳をあえてもう一度、この大事な場面でマウンドに送り出すことだった。

　しかしその青柳が米国打線に捕まった。

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