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侍ジャパン、金メダルまであと2勝! “五輪のラッキーボーイ”甲斐拓也だけでない、次々に逆転勝利できる理由<準決勝は韓国戦>
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byMasaki Fujioka/JMPA
posted2021/08/03 12:40
アメリカ戦のタイブレークでサヨナラ安打を放ち、喜びを爆発させた甲斐
6回からの2イニングで千賀が5つ三振を奪う力投で締めると、8回は山崎康晃投手(DeNA)、9回は先発要員の大野雄大投手(中日)がそれぞれ3人ずつで繋いで、9回裏には1死一塁から浅村がしぶとく右翼線安打で繋いで一、三塁として柳田悠岐外野手(ソフトバンク)の内野ゴロで同点に追いつく1点を刻んだ。
2017年の韓国戦以来、4年ぶり2度目のタイブレークへ
タイブレークに突入した延長10回表、先攻めの米国は5番のフレージャーからの打順。もちろん日本はセオリー通りにサヨナラを想定してクローザーの栗林良吏投手をマウンドに。そしてその栗林がまずフレージャーを宝刀・フォークで空振り三振で走者を動かさずに1死をとると、続く6番のE・フィリア外野手をフォークで二ゴロ、そして3人目のM・コロスバリー捕手を左飛に討ち取る完璧投球。これで完全に流れは日本へとやってきた。
日本代表としては2017年のアジア野球選手権大会の韓国戦以来、4年ぶり2度目のタイブレークでの決着。勝ったことはもちろんだが、不安を抱えていた千賀が復活のピッチングを見せ、スランプのどん底に沈んでいた主砲・鈴木に一発と、働いてもらわなければならない選手たちに結果が出たことが金メダルへ向けての大きな収穫だった。
全員でもぎ取った逆転劇、サヨナラ劇だった
そしてこうして振り返ると、継投でベンチワークに疑問の残るところはあるが、それでも選手が一丸となってそれをカバー。まさに全員でもぎ取った逆転劇、サヨナラ劇で侍ジャパンの真価を見せた試合だったことが分かる。
「選手は諦めることなく最後まで全力で頑張ってくれたと思います」
試合後の記者会見。改めて結果を噛み締めるように稲葉監督はこう胸を張った。
次戦はいよいよ決勝進出をかけた準決勝で相手は宿敵・韓国となる。