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“日本のエース”山本由伸、田中将大と「10cm差のステップ幅」に見る“唯一無二”の凄み《侍ジャパン初戦を6回無失点9奪三振の快投》 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2021/07/29 11:10

“日本のエース”山本由伸、田中将大と「10cm差のステップ幅」に見る“唯一無二”の凄み《侍ジャパン初戦を6回無失点9奪三振の快投》<Number Web> photograph by Getty Images

初戦のドミニカ戦で先発し、6回無失点に抑えた山本

 捕手の甲斐拓也を相手に20球。真っ直ぐにカーブ、カットボールからフォーク、ツーシームと全球種を投げ込む山本の横で、シャドーピッチングでフォームチェックをしていたのが田中将大投手(楽天)だったのである。

山本と田中将大の“着地点”の違いとは?

 山本が投げる。

 すると次にそのすぐ脇で田中がシャドーでしっかりと腕を振ってフォームを確認する。そうして並んで調整する2人のエースを、真横から見ることができたのである。そこでつぶさに2人を観ていて気づいたことがあった。

 それは踏み出した左足の着地点の違いだった。

 ステップ幅が明らかに山本の方が半足分ほど広い。長さにして10cm弱、山本の方が捕手寄りに左足を着地して投げていた。

 身長は田中が188cmに対して山本は178cmと10cm低い。通常、ステップ幅は身長の80%から85%くらいと言われることを考えると、10cmも背の低い山本の方がステップ幅が10cm近く広いというのは、普通では考えられないことだった。

 ステップ幅が広くなれば、それだけ腕の振りにも勢いがついてボールの威力は増す。しかしその一方であまり幅が広くなりすぎると、着地した際に左ひざが折れて、制球力も悪くなるなどの弊害が出てくる危険性がある。

跳ね上がってボールをリリースする

 しかし山本はその広いステップ幅で左足を着いた瞬間に膝が折れずに、しっかり体重を乗せて地面反力を使うように跳ね上がってボールをリリースする。その運動量の大きさ、角度があのボールのパワーとスピードを生み出し、変化球のキレをつける。

 田中将大という日本を代表する投手と並んで見ることで、改めて山本の凄さを感じることができた。

【次ページ】 こんなダイナミックな投げ方をできる投手は唯一無二

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