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“日本のエース”山本由伸、田中将大と「10cm差のステップ幅」に見る“唯一無二”の凄み《侍ジャパン初戦を6回無失点9奪三振の快投》
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byGetty Images
posted2021/07/29 11:10
初戦のドミニカ戦で先発し、6回無失点に抑えた山本
こんなダイナミックな投げ方をできる投手は唯一無二
いまの日本球界でこんなダイナミックな投げ方をできる投手は唯一無二。まさに山本が山本である所以を見た場面だったのである。
今季は所属のオリックスで前半戦終了時で9勝、防御率1.82、121奪三振といずれもリーグトップの数字を残しての代表入り。巨人・菅野智之投手の辞退などアクシデントが続いた投手陣の中で、稲葉篤紀監督にキーマンと指名されて開幕先発を任された。
「オリンピックの先発投手は、プレミア12での中継ぎの経験とはまた違った役割として、良い経験ができました。ドミニカ共和国の打者はパワーが凄いので、ホームランだけは気をつけて甲斐さんを信じて投げました」
打線の援護がなく五輪での白星はお預けとなったが、中盤まで託された役割をしっかり果たして苦しむチームをこの右腕が支えたことが、最後の勝利への布石となった。
順調に勝ち進めば次の登板は8月4日の準決勝。2004年のアテネ大会では松坂大輔投手(当時西武)、2008年の北京大会では杉内俊哉投手(当時ソフトバンク)と2人のエースが任された金メダル奪取には絶対に負けられない試合だ。過去2大会はいずれもここで涙を飲んだが、東京大会は山本の右腕で3度目の正直に挑む事になる。