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《女子ゴルフ》畑岡奈紗の“安定して強い”理由は? 東京五輪はプロ前からの夢、松山英樹との練習ラウンドで発見も
text by
南しずかShizuka Minami
photograph byShizuka Minami
posted2021/08/02 17:02
米ツアー本格参戦以降も安定した成績を残してきた畑岡奈紗。目標であった東京五輪の舞台で金メダルを目指す
さらに、片平は試合中にも畑岡がデータを収集しているシーンをよく目にするという。
「グリーンの硬さは湿気や気温によって刻々と変わります。だから、パー4の第2打やアプローチショットなど、ボールがグリーンに落ちてから、どのぐらい転がったか、よく歩測しているのを見かけます」
たとえば、パー4の第2打を8番アイアンで打つ。ボールがグリーンに乗っかって転がる。ボールマークを直した後に、その転がった距離を歩測し、メモに書き込む。別のホールで似たような距離があれば、迷うことなく、また8番アイアンを振り抜く。優勝に向けて常に最善を尽くす。
米ツアーでは、距離の計算はキャディの仕事として任せ、打つことだけに集中するゴルファーは少なくない。米ツアー通算12勝のアリヤ・ジュタヌガーン(タイ)は、ヤーデージブックにメモしないし、同11勝のレキシー・トンプソン(米国)に至ってはヤーデージーブックすら持ってない。
どちらが良い悪いではなく、自らデータをきちっと取ることが畑岡流だ。むしろ、その緻密な作業を苦に思ってないどころか、楽しんでる節さえある。
6月下旬のKPMG全米女子プロの練習日、畑岡は初めてプレーする難コースに対して、楽しみを感じていた。
「こういう良いコースでプレーするのは楽しいです。普段練習してるところを、より試されるので。(同大会は毎年開催コースが変わるため)毎年新しいコースで出来ることは楽しみです。(米ツアー)5年目になって、先週のマイヤーLPGAクラシックなど、(過去に試合で回った)コースはもう分かっているから、練習ラウンドが早く終わっちゃって。それも悪いことじゃないんですけど、(初めてのコースだと)隅々まで見なきゃいけないという反面、色々知れて楽しいなと思います」
上手くなりたい、強くなりたいという純粋な向上心。その思いは昔から変わってない。
東京五輪はプロになる前からの夢
初志貫徹――18年の全米女子オープンの時に、畑岡があげた好きな言葉だ。
「アメリカツアーで戦って優勝したい、世界一になりたいというのが目標なので、それが叶えられるように自分の志を変えずにやっていきたいです」
当時19歳だった畑岡は、自らその夢の一部を叶えた。3週間後のウォルマートNWアーカンソー選手権で米ツアー初優勝。それから、コツコツと努力し続けて、五輪出場のチケットを掴み取った。自国開催である東京オリンピック出場は、プロになる前からの夢だったという。