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ロンドン銀・平野早矢香に聞く“女子団体、金メダルの可能性はある?”「正直、中国の優位は動かない。だけど…」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2021/07/30 17:01
8月1日から始まる卓球女子団体。強豪・中国を倒して悲願の金メダルを獲得できるか
「ただ、これまで中国は五輪など大舞台を経験した選手をふたり、初出場ひとりというメンバー構成だったんですが今回、変えてきました。五輪の経験者は劉詩雯選手だけで、陳夢選手、孫穎莎選手は初出場になります。たぶん、昨年開催されていたら劉選手と丁寧選手という経験者を入れてきたと思うんですが、今回、丁寧選手を外してきたのは、中国国内での力が少し落ちてきていることと、私は伊藤選手との相性もあったと思います。ここ何回か、伊藤選手は丁寧選手にすごくいい試合をして勝っているので、そういうことも考えての今回のメンバーだと思います」
トップ選手ぞろい中国は「強いですけど、不安もある」
従来の編成を変えてまでも新しいメンバーにこだわった中国だが、陳夢は世界ランキング1位、孫穎莎は世界ランキング3位で、戦績を見る限り、身震いするほど強そうだ。彼女たちに付け入る隙はあるのだろうか。
「強いですけど、不安もあると思います。今までのメンバー構成を崩してきているわけじゃないですか。劉選手しか五輪を知らないですし、基本的には右利きと左利きのペアのほうが有利なので、前までは団体戦では左利きの選手を入れてきたんですが、今回は全員が右利きです。それに五輪前、中国の選手は自国で強化していましたが、半年以上、対外試合をしていないんですよ。それが吉と出るか、凶と出るか。私は心理的にはマイナスと思いますし、金メダル獲得が絶対というなか、初出場の選手が2人いる。選手にかかるプレッシャーは非常に大きいと思いますね」
中国選手に中国という国から掛けられる金メダルというプレッシャー。混合ダブルスを落としたという衝撃。そこにさらにプレッシャーをかけて、中国を慌てさせるには、どうしたらいいのだろうか。
日本が狙うべき「3つの勝機」
「ダブルスで先手を取ることです。今のところ劉詩雯選手と陳夢選手がダブルスで孫穎莎選手がシングルスで来るのかなと思いますが、最初のダブルスを取って、2試合目の伊藤選手と孫選手につなげられるとすごく面白くなります。対戦成績では孫選手が勝っていますが、伊藤選手は毎回いい試合をしていますし、大きな試合の経験値があります。孫選手は若いので、付け入る隙があると思うので、ここで伊藤選手が勝って2-0になると中国に相当のプレッシャーをかけられる。日本に勝つチャンスが出てくると思います」
中国は、何のプレッシャーもない状態で戦うとミスが少ない上にパワーとスピードがあり、日本の選手をはるかに上回る力を発揮して勝利するだろう。だが、中国選手も人間である。メンタル的なプレッシャーをかけ続けていけば、それが勝敗に影響し、さらに後続の選手にも伝播していく可能性がある。