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ロンドン銀・平野早矢香に聞く“女子団体、金メダルの可能性はある?”「正直、中国の優位は動かない。だけど…」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2021/07/30 17:01
8月1日から始まる卓球女子団体。強豪・中国を倒して悲願の金メダルを獲得できるか
「自分の試合で相手にプレッシャーをかけるだけではなく、自分の試合で次の相手にもプレッシャーをかけていく。試合で勝つのがベストですが、今回の日本はかなり手ごわいと思わせる。そういうプレッシャーのかけ方をしていくこと大事ですね」
伊藤が中国選手に強い理由
そのプレッシャーをかけた上で何ができるか。
「まずは、ラリーに入る前のところで、いかに崩すか、ですね」
平野さんは、そう強調する。
「ダブルスは、サーブ、レシーブがあって3、4球目までにだいたい勝敗が決まるんです。ラリーに入る前に普通にサーブ、レシーブで入ると中国の選手は上手いので、ポイントを獲るのは難しくなります。伊藤選手が中国の選手に勝てるのは、サーブの変化、多彩なレシーブ、早い段階でスマッシュを打つとか、普通とは違う変化をつけた攻撃ができるからなんです。ラリーの前にいかに崩して、プレッシャーをかけられるか。でも、これだけでは勝つのは難しい」
いつもと異なり、変化をつけて戦う上に、さらに必要なことがあるという。
「中国は、ひとつのことで全部が崩れるほど甘くないので、いろんなことを連続してつづけ、揺さぶっていくことが重要になります。例えば、相手が普段戦っているプレーゾーンでプレーをさせないようにすることですね。選手によっては例えば台との距離20cmが居心地いいという人がいますが、その位置を崩していくんです。本当は前でやりたいけど、うしろに下がらざるを得ない状況を作る。得意なプレーゾーンでできない回数を増やすと、そんなに強いボールを打ち返してこられないですし、コースが甘くなってきます。それを繰り返してメンタルを消耗させて、ようやく城みたいな頑丈な壁を崩していくことができるのかなと思います」
「悲願の金メダル獲得」の可能性はどのくらい?
中国に勝つのは、改めて容易ではないということがよく分かった。世界ランキング2位の日本と3位以下のチームには差があると言われているが、日本と1位の中国の間にはそれ以上に大きな差があることが分かる。そんな中国を倒し、日本が金メダルにたどり着く可能性はどのくらいあるのだろうか。