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厳しすぎるリハビリを乗り越えて…長嶋茂雄が東京五輪にどうしても“参加”したかった理由《開会式・聖火ランナー》
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byGetty Images
posted2021/07/24 12:30
東京五輪開会式に聖火ランナーとして登場した、プロ野球界のレジェンド(左から)王貞治、長嶋茂雄、松井秀喜各氏
松井さんに背中を支えられながら、王さんと共にゆっくりと前に進む長嶋さん。かつての躍動するような姿はそこにはなかったが、それでも自由になる左足を一生懸命に踏み出し一歩、一歩を踏みしめるように進む姿には、困難を乗り越えて目標に向かって突き進むスポーツマンとしての強い意思を感じることができた。
「競技場では気兼ねはいらない!」
そしてそんな長嶋さんが最終聖火ランナーの1人として新国立競技場を“走った”ことは、何より「多様性と調和」というオリンピックの理念を象徴するものだったと思うのである。
「競技場では気兼ねはいらない! 私も心の底から応援しています」
長嶋さんは今回の取材の最後にこう選手たちに呼びかけていた。
五輪開幕。
多くの論議を呼び、開催そのものが危ぶまれた大会だった。そしていま現在も、まだまだ新型コロナウイルスの猛威は止むまでには至っていない。それでも万全の感染対策を施し、一度、競技場に立つアスリートたちには、ミスターが語るように何の気兼ねもない思い切った姿を望みたい。
そしてそれを我々も全力で応援したい。
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