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「目標は金メダル」“大黒柱”渡嘉敷来夢は不在でも…女子バスケ日本代表の“アグレッシブなディフェンス”は世界に通用するか?
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byJIJI PRESS
posted2021/07/21 17:03
7月17日のプエルトリコ戦にて攻め込む本橋菜子。右膝前十字靭帯損傷から奇跡的な代表入りを果たした。
渡嘉敷来夢が負傷したのは痛恨だったが……
2試合を通じて印象的だったのは、12名の選手全員がそれぞれ自分の特長を出し、存在感を見せていたことだ。唯一無二の大黒柱だった渡嘉敷来夢が負傷によって代表入りを果たせなかったことは痛恨だったが、渡嘉敷不在の中でのチーム作りの方向性を全員が理解し、コートで表現できているからだろう。
日本の十八番である脚を使ったディフェンスと、そこからのファストブレイクには磨きがかかっていた。遅攻の場面では誰彼を問わずピック&ロールが見られた。そして、ホーバスHCが5年近くを掛けて落とし込んできた、コート上の5人全員が3点シュートを狙う姿勢も表現できていた。
面白かったのは町田瑠唯(富士通)、長岡映萌子(トヨタ自動車)、東藤なな子(トヨタ紡織)の3人に「山手線」というニックネームがついたこと。3人はともに札幌山の手高校出身。本番でもあうんの呼吸で得点を稼ぐことが期待される。
ホーバスHC「日本はどの国よりも一番練習している」
また、ベルギー戦で10得点10アシストのダブルダブルをマークした町田と、プエルトリコ戦で完全復活をアピールした本橋は、場合によっては2ガードで同時にコートに立つことも考えられる。町田は「私たちは背が低いのでアグレッシブなディフェンスをつねに練習してきた」と胸を張る。サイズでは劣るが、脚を使ったディフェンスやスピード感のあるプレーに相手が翻弄される姿が目に浮かぶ。
高田は「試合の出だしのところが一番大事なので、あと数日の練習で、もう一度気持ちを強く高めていきたい」と言い、キリッと前を見つめた。ホーバスHCは「日本はどの国よりも一番練習している。一番準備をしてきている。これからが勝負。高い目標である金メダルに向かって、自分たちの力を私たちは信じている。五輪の開幕が楽しみ。熱い応援をしてください」と高らかに言った。
ベスト8に入り、未来に明かりをともした前回のリオ五輪から5年。もっと明るい未来にするための勝負の時がやってくる。