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千賀滉大の“微妙な状態”で問題が…侍ジャパン、崖っぷちの試合では誰が先発に? 秘密兵器は独特なタイミングのあの投手!?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySankei Shimbun
posted2021/07/17 11:03
7月6日、左脚のケガからの復帰戦となったロッテ戦に先発した千賀だったが、自己最多の10失点で降板した
“崖っぷちの戦い”で誰が先発するのか
それがノックアウトステージの初戦なのである。
同ステージでは、まずオープニングラウンドの同順位同士が対戦。3位同士の対戦で敗れたチームはそこで敗退が決まるが、1位、2位同士の対戦では、敗れてもそこから敗者復活戦に回って、更に戦いを繰り広げることになる。
最も理想的なシナリオはオープニングラウンドを順当に1位通過し、この初戦を勝つことで、そうなれば次から準決勝、決勝となり最短5試合で金メダルにたどり着く。しかしせっかく1位通過しても、もしこのノックアウトステージ初戦で敗れれば、次戦は負ければ即敗退が決まる崖っぷちの戦いとなってしまうのである。
だからこそ、この試合の先発に誰を持ってくるかは大きなカギで、実はその有力候補が山本だったのだ。もしここで先発すれば、中4日の決勝戦ではリリーフに回ることも可能で、山本を要所でフル回転させる案でもあった。ただ、その山本を初戦先発に回せば、この役割を誰が果たすのか。それが日本の金メダルへのポイントとなるわけだ。
注目される千賀の状態
そこで注目されるのが千賀の状態だ。
4月に左足首の靭帯損傷で戦列を離れていた千賀は、6月の代表発表の時点ではメンバー入りしていなかった。しかし菅野の辞退前の6月29日に三軍戦で3度目の復活登板を果たして急遽、招集が決定。ところがその後の7月6日のロッテ戦では自己ワーストの10失点で3回途中KOと、状態を不安視する声が広がっている。
そんな中で7月13日の二軍戦に先発した千賀は、6回8奪三振の無四球で1失点とまずまずのピッチングを披露。球速も157kmを記録して「まずは良かった。自分の中で大丈夫という感覚はある。最低限の方向性はできつつある」と復調への手応えを見せている。
首脳陣の考えも菅野の代役としての招集であったことは明らかで、状態次第ではそのまま菅野を予定していた開幕戦の先発に千賀を当てはめるという選択肢もある。また山本を開幕投手に起用するなら、ノックアウトステージ初戦を千賀に託す可能性も出てくる。