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「そういうところも含めてACL」酷暑37度+劣悪ピッチもフロンターレ圧巻の6連勝 “史上初のJ1同時制覇”への自信が本気で漂う
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byAP/AFLO
posted2021/07/16 17:03
三笘薫(右)や橘田健人ら総力戦で6連勝を飾った川崎フロンターレ。J1との同時制覇は現実的な目標と言っていいはず
過密日程による台所事情や試合展開によって、6試合を通じた選手の配置や組み合わせも多種多様。例えばキャプテン・谷口彰悟は慣れ親しんだセンターバックだけではなく、アンカーのポジションで何度も出場し、新人・橘田健人は主戦場であるインサイドハーフ以外に、右サイドバックやアンカーなど幅広く起用された。
得意ではないポジションでも柔軟な対応力を見せ続けた選手たちの姿から、チームの戦い方の幅も広がっていく手応えを感じたと指揮官は言う。山村和也を例に挙げて、こんな風に述べている。
「スクランブルでやっているので、いろんな選手がいろんなところをやる状況でした。例えば、ヤマ(山村和也)にしても、昨日(第5節・大邱FC戦)はボランチで使いましたが、麻生グラウンドでボランチで使っていたかというと、来る前は使っていませんでした。もちろん、練習で少し入れたりはありましたが、実際にはぶっつけ本番に近いものがありました。その中でも選手はいろんなポジションをやってくれている」
普段とは違う組み合わせで生まれる副産物
その選手の何を優先して、何を捨てて、どこで起用するのか。それを決断したら、選手を欠点を隠しながら、特徴を生かす術を仕込む組み合わせを考える。
普段とは違うポジションに配置した選手や初めての組み合わせによって、これまでとは違う持ち味やコンビネーションも生まれる副産物を発見する。そうした作業は、今大会の楽しみにもなっていたと指揮官は笑みを浮かべた。
「メンバーを変えながら、力を落とさずにいろんな形でやることで面白い崩しも見えてきました。いろんな選手の特徴が出てくるので、そこは良いなと思います。こっちのポジションもできるのかなとか、そういう感じで見ています。もちろん、できるかなと思ったら、全然だった(うまくいかなかった)こともありますが(笑)。それで選手の評価を下がることはないですから、楽しみながらやっています。自分の頭の中は広がりますね」
たくましさを象徴する第5節の大邱FC戦
こうしたチームマネジメントの試行錯誤や収穫も多くあったと同時に、プレーしていた川崎の選手たちにたくましさが備わってきたことを感じる大会でもあった。このACLでは、Jリーグでの川崎とは違う顔を見せた戦い方や勝ち方も少なからずあったからである。
象徴的だったのが、勝てば首位突破が決まる第5節の大邱FC戦だった。