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得点圏打率はパ2位、28歳呉念庭はなぜ西武の救世主になれた? 初のオールスター出場は台湾でも話題「毎日、連絡が来ます」
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph bySankei Shimbun
posted2021/07/16 06:00
ホームランを放ち、ベンチに笑顔で戻る呉念庭。初のオールスターへの意気込みを語った
呉は入団1年目の2016年、43試合に出場し一度はショートのレギュラーの座をつかみかけている。しかし翌年、源田壮亮が入団。12球団随一と言われる守備力を誇る源田は瞬く間にショートのレギュラーポジションを獲得した。
「ショートへのこだわりは、プロ1年目はありました。試合にたくさん出させてもらったこともあって、翌年は『ショートのレギュラーを取りたい』と思って臨みました。でも、ファームでの生活が長かった。その中で、いろいろ考えて、コーチにも相談して、様々なポジションに挑戦しようという風に気持ちが変化しました。今は、ポジションはどこでもいい。試合に出られて、チームに貢献したいという思いのほうが強いです」
源田というライバルの出現により、ショートだけではなくサード、セカンド、ファーストと、内野であればどこでも守れるスキルを身につけた。「プロ5年間でやってきたことが今、自分にとっての武器になっていると思う」と胸を張る。
「自分が出られず、ベンチで見ていたときも勝てばうれしかったけれど、でも、試合に出て、自分が貢献して勝った試合はうれしさの種類が全然違います」
「今は心から野球を楽しんでいます」と笑顔を見せた。
初のオールスター「台湾の代表として」
16日には初めてとなるオールスター出場を控えている。ペナントレース中の活躍は、常に台湾のニュースで取り上げられているという。オールスター戦でも活躍し、故郷の家族に喜んでもらいたい。
「家族や友達からは毎日、連絡が来ます。僕は今までと変わらず普通に野球をやっているだけなんですけど、ニュースの影響力はすごい(笑)。周囲のみんなに喜んでもらって、僕もうれしいですね」
お立ち台に呼ばれた際には、台湾で起きた列車事故に言及した。台湾を代表してプレーしているという自負もある。
「日本のプロ野球はアジア最高のレベルです。台湾でも注目されているし、ライオンズの一員ではありますけど、台湾の代表という思いも強いです。僕が活躍することで、台湾の野球少年の中でも、日本のプロ野球を目指す子が増えてほしい」
自身が中学生のとき、阪神で活躍していた林威助(リン・ウェイツゥ)に憧れ、日本でプレーしたいと思ったように、これからは自分が野球少年の目標となることを夢見ている。