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今のイングランドは逆境にモロくない “不当なPK判定説”もデンマークに逆転勝ち、イタリアとのEURO決勝が必見なワケ
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byREUTERS/AFLO
posted2021/07/08 17:01
イングランドEURO決勝進出。まさにロンドンは燃えている!
10分と経たずに同点としたイングランドは後半、メイソン・マウントの右からのFKにハリー・マグワイアがヘディングを放つも、再びシュマイケルがビッグセーブ。以降は疲労の色がありありとわかるデンマークに攻勢をかけつつ、守備時には警戒された相手の左サイドにカイル・ウォーカーが力強く蓋をするなど、危険なシーンはほとんど作らせなかった。
延長後半、完璧なボール回しで時間を使った
延長前半に逆転した後、相手が前線の数を増やすと、途中出場のジャック・グリーリッシュをキーラン・トリッピアーと交代させ(「彼は完全に理解してくれた」と指揮官)、5バック気味の3バックにして対応。デンマークが交代カードをすべて使った後、イェンセンが負傷して10人になると、最後は観衆の「オーレ!」と共にパスを回して時間を費やした。
それでも、主要大会の準々決勝や準決勝で何度も苦渋を味わってきた母国の人の中には、終盤に祈るようにピッチを見つめていた人の姿も。それだけに、終了の笛が吹かれると、一気に歓喜が爆発した。
「プロのフットボーラーは常に、次の試合、次の試合、次の試合を考えてしまう」とケインは語った。「だからその瞬間のすべてを味わうことには慣れていない。でも今夜のような機会には、ファンと共に歌い、喜びを分ち合いたいし、そうあるべきだと思う。もちろん、あと1つ試合が残っているので、有頂天になったりはしない。ただ、この素晴らしいチームの主将を務めていることは、本当に誇らしいよ」
イタリアvsイングランドはふさわしいフィナーレ
イタリア対イングランドの決勝は、この大会に相応しいフィナーレに思える。どちらも長年の努力によりモダンなクオリティーを身につけ、集団の結束力も極めて高い。日本時間7月12日月曜日早朝4時のキックオフは、私たちにはなかなか厳しい時間帯ではあるが、ライブで観戦する価値はきっとあるはずだ。
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