球体とリズムBACK NUMBER

W杯予選敗退から3年…イタリアのルネサンス “進取の攻撃性+伝統の堅守・鋭利なカウンター”融合で鬼門スペイン撃破 

text by

井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

PROFILE

photograph byJustin Tallis/Getty Images

posted2021/07/07 17:02

W杯予選敗退から3年…イタリアのルネサンス “進取の攻撃性+伝統の堅守・鋭利なカウンター”融合で鬼門スペイン撃破<Number Web> photograph by Justin Tallis/Getty Images

スペインを下して決勝進出を果たしたイタリア。ついに青の軍団がルネサンスの時を迎えた

PK戦は奇しくも、13年前と同じ……

 どちらかといえば、一つ前のスイス戦でPK戦に勝利したスペインの方が有利だったかもしれない。そしてイタリアの一番手、マヌエル・ロカテッリのキックがGKウナイ・シモンに防がれた時、流れはスペインに傾いたかと思われた。

 しかし次のダニ・オルモが大きく枠を外すと、その後は5人が成功。スペインの4人目は、国内で不当に批判されながら、この試合でも得点したモラタ。ベビーフェイスの背番号7が放った右下へのキックは、ドンナルンマにセーブされた。続くイタリアの5番手、名手ジョルジーニョはミートの前に跳ねる時間差のキックでGKの逆を突き、アッズーリを決勝に導いた。奇しくもPK戦のスコアは、13年前と同じ4-2だった。

「徹頭徹尾、団結することが、何よりも重要だ」

 試合後、準々決勝でアキレス腱を断裂して涙ながらに戦列を離れたレオナルド・スピナッツォーラ──今大会最高のレフトバックのひとりだ──のシャツをインシーニェがまとうと、そこに仲間が集まり、「オーレー、オレ、オレ、オレー、スピーナー、スピーナー」の大合唱が始まった。この一体感こそ、今のアッズーリの強さの源だろう。

「このチームが立ち上がった時から、マンチーニ監督はひとつのマントラを唱え続けている」とスターオブザマッチに輝いたキエーザは試合後、丸い目を生き生きと輝かせながら明かした。「徹頭徹尾、チームとして団結することが、何よりも重要だと。僕らは今日も、それを証明してみせた」

 その前に登壇したマンチーニ監督も、似たようなことを話した。

「チームの活動初日から、私を信じてくれた選手たちに感謝している。私たちは偉大なことを成し遂げられるという言葉を。(中略)外部の人々はほぼ誰も信じていなかったし、本当に大変な3年間だったが、こうして決勝に勝ち進むことができた。今は我々の歩みを見守ってくれている国民と、喜びを分かち合いたい」

 決勝の相手はイングランドか、それともデンマークか。どちらになっても、結びつきの強いチーム同士による、痺れるような欧州頂上決戦になるはずだ。

関連記事

BACK 1 2 3
マルコ・ベッラッティ
ロレンツォ・インシーニェ
ロベルト・マンチーニ

海外サッカーの前後の記事

ページトップ