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岡本和真は「巨人の4番」らしい大打者になれるか ONに原、松井や阿部に比べて“足りない数字”は…【週刊セパ記録】
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki
posted2021/07/06 11:05
3ラン本塁打の多さが話題となっている岡本和真。球界の看板とも言える「巨人の4番打者」の貫禄を身に付けられるか
岡本和真は2018年に33本塁打100打点、打率.309をマークし、わずか22歳で「巨人の4番」として認められるに至った。
以後、2019年は31本塁打94打点、打率.265、2020年は31本塁打97打点、打率.275という記録を残した。昨年は本塁打王、打点王の二冠王だった。順調に成長しているという見方もできるだろうが、歴代の巨人4番打者と比較すると――どうしても物足りない。
1936年のプロ野球開始以来、巨人で4番として1500打席以上立った打者は9人いる。これを4番における安打数順に並べるとこうなる。
川上哲治 1658試6420打2034安162本1129点 率.317
長嶋茂雄 1460試5396打1694安314本1075点 率.314
王貞治 1231試3994打1258安 392本1009点 率.315
原辰徳 1066試3940打1099安 255本729点 率.279
A.ラミレス 511試1978打610安 139本407点 率.308
阿部慎之助 505試1790打514安 97本343点 率.287
松井秀喜 470試1660打535安 138本349点 率.322
中島治康 410試1647打466安 34本266点 率.283
岡本和真 422試1606打437安 109本326点 率.272
既に岡本和真は25歳の若さで巨人の歴代4番に列せられる存在ではある。
坂本勇人は53試合しか4番を打っていないが、岡本はすでに422試合に4番打者として出場。109本塁打を打ち、本塁打数では阿部慎之助を抜いてはいる。しかし打率.272は、この中では最下位だ。捕手との兼業という激務だった阿部慎之助でも.287を残している。
安定感が求められる中で、好不調の波が大きい
MLBなどでは近年、最強打者を4番ではなく2番に据えるチームも増えている。巨人も今季は最も調子が良いウィーラーを2番に置いている。4番は影が薄いように感じられるかもしれないが、4番打者は少々のことでは入れ替えることはせず、ポイントゲッターとして安定感ある成績を残すべきポジションだ。
岡本は4番打者になってからも好不調の波が大きい。今季も3、4月は.234、ここ3年で月間打率が3割を超えたのは2020年9月(82打数27安打 率.329)、2019年8月(103打数31安打 率.301)の2回だけだ。
4番打者に必要なのはアメリカでいう「RBIイーター(打点食い)」だろう。巨人の4番からヤンキースに移籍した松井秀喜の代名詞だが、巨人の4番時代の松井は打率.322をマークしている。