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「20代のうちに恥をかかないと辞めた後に食べていけない」 女子サッカーと仕事(1日7時間)の両立を本気で目指すクラブとは 

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間淳

間淳Jun Aida

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posted2021/07/04 17:00

「20代のうちに恥をかかないと辞めた後に食べていけない」 女子サッカーと仕事(1日7時間)の両立を本気で目指すクラブとは<Number Web> photograph by Jun Aida

働きながらサッカーに打ち込む「FCふじざくら山梨」の選手たち

「仕事とサッカーを両立させないと辞めた後に……」

 中塚は大学で福祉を学んだ。だだ、卒業後はサッカー以外にやりたいことはなく、所属していたクラブでは与えられた仕事をこなしていたという。

 多くの女子サッカー選手と同じように、アスリートのための業務内容だった。考え方が大きく変わったのは、ユニホームを脱ぐタイミングを意識した26歳のときだった。「自分の人生を見つめなおした。仕事とサッカーを両立させないと、サッカーをやめた後に食べていけない」。強い危機感を抱き、福祉を仕事にしようと決めた。

 2018年シーズンまでプレーした全保連琉球デイゴスではフルタイムで、高齢者施設や沖縄県管轄の福祉事務所で働いた。さらに、睡眠時間を削って福祉の勉強をした。決して楽ではない道を選んだのは、20代のモットーを決めたからだった。

「30歳までに経験を積みたい。お金よりも経験。20代のうちに恥をかいておかないとサッカー選手の肩書きがなくなったら厳しくなる」

 FCふじざくらに加入してからは、セカンドキャリア、サッカーとの両立を一層強く意識するようになった。福祉の専門家として戦力になれるよう、社会福祉士の国家試験を受けて、今年3月に合格通知を手にした。

「サッカーは今しかできない。サッカーを優先しながら、その先の人生設計のために仕事をしていきたい。これまでに福祉業界で児童、高齢、障害の3分野全ての経験を積ませてもらった。今後は精神疾患に関する資格を取って、複合施設をつくりたい夢がある」

 サッカー選手として上のカテゴリーを目指しながら、中塚はグラウンド外でも夢を追っている。

肩書きは「キャプテン兼アスリートクリエーター」

 DF工藤麻未(30)の名刺には2つの肩書きが刻まれている。

「キャプテン兼アスリートクリエーター」

 元々デザインや料理が好きで、現在は宿泊施設のフロント業務に加えて、クラブのポスター作りのアシスタントやTシャツのデザインなどを手掛けている。FCふじざくらでは世界の舞台で受賞歴のある人にもデザインを依頼しており、そうしたクリエイターから工藤が直接教えを受けることもある。

【次ページ】 過去のクラブでは“午前中に3時間だけ仕事”

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