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「日本人対決は“負けないぞ”って気合が入るから」 奥川雅也が語るドイツ1部挑戦、堂安律との共闘、代表への野心〈ビーレフェルト完全移籍〉
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAtsushi Iio
posted2021/07/27 11:04
インタビューに応じてくれた奥川雅也。語る言葉に手応えと未来への意欲を感じさせた
――オーストリアと違ってドイツには、堂安選手だけでなく日本人選手も多いから刺激になったのでは?
「それこそ律はポジションも近いですし、意識はしますけど、意識するよりも意識されないといけないと思っていて。みんな日本代表の常連だけど、僕は代表に入ってないから、周りからすると『誰?』っていう感じだと思うんです。僕がいいプレーをして、みんなの注目を集めるようにならないといけない。だから、毎試合、得点したり、印象的なプレーをしないといけないっていう思いでやっていましたね」
昨年の日本代表追加招集、合流見送りの“不運”
――日本代表に関して言うと、ザルツブルク時代の11月に日本代表に追加招集されたにもかかわらず、チーム内で新型コロナウイルスのクラスターが起きたため、合流が見送られました。あのときの心境は?
「日本代表のキャンプ地がオーストリアだったので、監督、コーチから『チャンスがあるんじゃないか』と言われていたんです。でも、発表されたら名前がなくて、まだまだ足りないものがあるんだなって。次の日がラピード・ウィーンとアウェイゲームだったので、気持ちを切り替えて練習に励んでいたんです。そうしたら、練習後、コーチから『おめでとう』と言われて。『呼ばれたよ』って。正直、何のことかまったく分からなくて。追加招集されたことが分かっても、切り替えていたので、どう表現していいか分からなかった。でも、一番に思ったのは、今まで頑張ってきて良かったな、っていうこと。代表で自分のプレーをみんなに見せたいな、と思いながら、ウィーンへの遠征に行った覚えがあります」
――そうしたら、クラスターが起きてしまったと。
「あれはすごく運が悪くて。結局、全員、陰性だったんですよ。コロナラボのミスというか、たまたま違う結果が出てしまって。僕も監督とかにめちゃめちゃ抗議しましたし、監督もドクターにめちゃめちゃ抗議してくれて。ヨーロッパの選手たちは代表活動に行けたんですけど」
――日本代表はかなり徹底してコロナ対策を行っていましたから。
「安全第一だから今回は見送ろう、という話になって。めちゃめちゃショックでしたね」
――むしろ、そこからよく切り替えられましたね。
「でも、それこそ会場がオーストリアだったから声が掛かった部分もあったと思うし、ここでガッカリするより、森保(一)監督に見てもらえていたことをポジティブに捉えることができましたね」