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「日本人対決は“負けないぞ”って気合が入るから」 奥川雅也が語るドイツ1部挑戦、堂安律との共闘、代表への野心〈ビーレフェルト完全移籍〉
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAtsushi Iio
posted2021/07/27 11:04
インタビューに応じてくれた奥川雅也。語る言葉に手応えと未来への意欲を感じさせた
否定されてきた部分をドイツ1部で評価してもらえた
――ドイツ1部におけるプレーの手応えは、どうでした?
「僕が加入した頃は正直、チームとして機能していなくて。監督もマズいと感じていたのか、ミーティングの回数が多かった。そこで言われていたのが『チームのために走れ』ということ。僕が走れることは監督も知っていて、『(トップ下だけど)ボランチ気味のポジションを取って、前に出て行け、後ろにも下がれ』と指示されて。自分のサッカー人生で一番、ハードワークしたシーズンでした」
――ヨーロッパに来た頃は「守備ができない」と言われていたのに、ザルツブルク時代に鍛えられて、ハードワークは武器になってきた?
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「そうです。今まで否定されていた部分をドイツ1部で評価してもらえたのは、大きかったですね」
移籍前、ザルツブルクでのもどかしい思い
――それにしてもザルツブルクでの20-21シーズン前半は、どうなってしまうんだろうと。
「そうでしたね、はい(苦笑)」
――前季に9ゴール6アシストをマークして、二桁得点を目標に掲げて臨んだシーズン。9月22日のマッカビ・テルアビブとのチャンピオンズリーグのプレーオフでゴールを決め、幸先の良いスタートを切ったはずでした。ところが、徐々に出番を失ってしまった。
「最初のうちは体も動いていたんですけど、過密日程でケガがなかなか治らなくて。(ジェシー・マーシュ)監督からも『万全じゃないなら、ベンチスタートにする』と言われることが多くなっていって。やらなあかんシーズンやのに、思うようにプレーできなくて、焦りというか、もどかしさがありました」
――ケガはシーズン序盤から抱えていたんですか?
「細かいケガがあって、チャンピオンズリーグの本戦に入る前ぐらいに内転筋を痛めてしまって。それが自分のプレースタイルに影響するくらい大きいケガだったんです。でも、最初はドクターにだけ伝えて、『監督には言わんといてくれ』と」
ゴールを決めたCLバイエルン戦は痛みのピークだった
――勝負のシーズンだから、なんとか試合に出たかった?
「監督からも『お前は必要やから、コンディションを上げてくれ』と言われていて。だからドクターに『ここで離脱するわけにはいかへんから、治療しながら、だましだまし、やらせてほしい』と頼みました。でも、それで通用するほど甘くはなかった。それこそ(11月3日の)チャンピオンズリーグのバイエルン戦は、痛みのピークやったんです」