Jをめぐる冒険BACK NUMBER
「日本人対決は“負けないぞ”って気合が入るから」 奥川雅也が語るドイツ1部挑戦、堂安律との共闘、代表への野心〈ビーレフェルト完全移籍〉
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAtsushi Iio
posted2021/07/27 11:04
インタビューに応じてくれた奥川雅也。語る言葉に手応えと未来への意欲を感じさせた
――ゴールを決めて、シーズンの流れが変わるかなと思っていましたが、むしろ痛みがピークのなかで、なんとか決めたゴールだったんですね。
「痛み止めを飲んで、注射もしながら出場して、結果が出たから余計に『もっとやらな』と思ったんですけど、その直後の代表ウィーク中の練習で足がまったく動かなくなって。そこで初めて、チームから離れてケガと向き合ったんですけど、『今シーズン、ヤバいな』っていう危機感があって。やっぱり焦りが多かったです」
痛みに関して、メンタル的なケアと理解があった
――痛みはいつ頃から和らいできたんですか?
「正直、今もあって。慢性的な痛みになっています」
――では、ビーレフェルトでも痛みを抱えながらプレーしていたんですね。
「ただ、ビーレフェルトは『痛かったら練習を抜けていい』と、理解を示してくれた。そうやってメンタル的なケアをしてもらえたので、試合に出続けることができたのかなって思います」
――冬の移籍市場で新天地を求めることを考え始めたのは、いつぐらいからですか?
「12月の頭くらいですかね。監督にも『出られへん状況にあるし、試合に出る機会が欲しいから』と少しずつ話していて」
――新しいチームに移っても、ケガで思うようにプレーできないかもしれないという不安はなかったんですか?
「正直、ありました。この状態で行っても大丈夫なのか、もし使い物にならなかったらシーズンを棒に振ってしまうんじゃないかって。だから賭けでした。ただ、ビーレフェルトの監督は、『足が痛い』と伝えたうえで、『欲しい』と言ってくれた。そんなにも必要としてくれるなら、行きたいなって。『やらな』と思って体のケアもすごくしました。いっぱいいっぱいでしたけど、残留することで報われて、よかったです」
律のフィジカルは、ドイツ人にも全然負けない
――ビーレフェルトでは堂安選手とチームメイトになりました。彼との連係で崩すシーンもありましたが、堂安選手のプレーはどうでした?
「律の一番凄いところは、フィジカルの部分。ドイツ人にも全然負けないんですよ。あそこ(右サイド)であれだけボールをキープしてくれれば、FWや僕は裏に飛び出しやすいし、ワンツーで抜けたりするイメージも湧いてくる。僕と律は毎試合、同サイドで出場していて、監督から信頼されていたと思うし、僕自身、律の存在に助けられたというか。たぶん律もそう思ってくれているんじゃないかな。右サイドから仕掛けることが多かったので、チームの助けになれたと思います」