炎の一筆入魂BACK NUMBER
鈴木誠也ら主力が離脱…コロナ直撃から「広島カープはどう戦ってきたか?」番記者が見た“選手たちの苦悩”
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byKYODO
posted2021/06/14 17:25
復帰早々ブランクを感じさせないプレーを見せた鈴木誠也だったが、本人は自分の体の変化を感じていた
5月19日以来、2週間ぶりの実戦打席であっさり中前打を記録した打撃にブランクは感じられず、相手の中日ベンチからも「簡単に打つなぁ」と感嘆の声が漏れるほどだった。
ただ本人は違った。
「もう少し強度を上げないと。上に上がってすぐにケガをしてはいけない。10日間というのは意外と大きい。トレーニングもできていませんし、軽く考えてはいけないのかなと思います」
体の変化を敏感に感じ取っていた。
誰よりも納得していないのは選手本人
2日前倒ししての復帰から、13日までの7試合は計27打数6安打、打率.222、1本塁打、1打点。戦列に復帰した今も、現状の中での最善の形を模索しているように映る。誰よりも納得していないのは選手本人。一軍に上がれば、調整の影響など口にはしない。「休ませてください」など、口が裂けても言わないだろう。
急ピッチで一軍に戻ってきた選手は誰もがそう。森下もまだ2年目とはいえ、調整面や疲労面を言い訳にするはずがない。
予防を徹底した上での感染だけに、選手は何も悪くない。それどころか、心身ともに見えない負担を背負っている分、起用法だけでない、ケアやフォローも欠かせないだろう。
広島が見舞われたコロナ禍は、離脱した選手が復帰しても終わりではない。今もなお、戦い続けているのだ。