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鈴木誠也ら主力が離脱…コロナ直撃から「広島カープはどう戦ってきたか?」番記者が見た“選手たちの苦悩”
posted2021/06/14 17:25
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
KYODO
広島がコロナ禍に見舞われた。5月17日、夜中11時過ぎにメディアへ球団からリリースが送られてきた。
リーグトップの打率を残していた菊池涼介ら3選手の新型コロナウイルス感染を発表。全12球団、試合のない練習日。静かなはずの1日は、広島球団にとって経験したことのない慌ただしい1日となった。
徹底していたからこその、衝撃と動揺
保健所への報告や指示を仰ぎながら、同時進行で球団内の情報をまとめなければいけなかった。陽性判定された選手だけでなく、陰性判定を受けた選手や首脳陣、関係者からも情報を収集。通常であれば翌日の巨人2連戦に向けて東京へ移動することになったが、全選手、全スタッフを自宅待機とした。
今季の広島は遠征先では外食、外出は禁止。地元広島での外食も全国的な感染拡大にともない、禁止となった。二軍の寮生はコンビニへの買い物時間でさえも門限が設けられるほど、徹底されていた。来日前の外国人選手を除けば、広島球団で初の新型コロナウイルス感染者。それ以上に12球団でももっとも厳しく行動を制限するほど、感染予防を徹底した中での感染に、衝撃と動揺があった。
発表から一夜明けて、5人の選手と2人のコーチ、1人のスタッフを球団独自の濃厚接触者として、引き続き自宅待機させた。「感染拡大防止特例2021」に基づいて抹消された8選手の代替選手8人を一軍に呼び、東京へ移動して、2試合を戦った。
動揺が収まらない広島に、追い打ちをかけるように、20日以降のPCR検査でも陽性者が相次いだ。21日には鈴木誠也や長野久義、若手の羽月隆太郎など選手5人とコーチ1人、スタッフ1人の計7人の感染を発表。広島は活動停止状態となり、同日からの阪神3連戦は中止となった。21日には倉義和コーチ、23日には九里亜蓮が陽性判定。22日には、森下暢仁と高橋昂也の2投手に球団独自の濃厚接触者として、2週間の隔離期間を設けなければいけなくなった。
練習の負荷も落ちていく中で
26日の西武戦までが中止となり、20日から続いた個別練習から全体での活動再開となったのは、8日ぶりの実戦となる27日西武戦当日だった。個別練習は許可されていたとはいえ、練習時間も練習メニューも限られ、負荷は明らかに落ちていた。