水沼貴史のNice Middle!BACK NUMBER
1985年にもあった異例の日本代表戦…水沼貴史が「凄くやりにくかった」と思い出す“ラモス・松木・都並がいた読売クラブ戦”、その結果は?
text by
水沼貴史Takashi Mizunuma
photograph byKazuhito Yamada
posted2021/06/11 11:00
メキシコW杯アジア地区最終予選・韓国戦に挑む日本代表。惜しくもW杯出場を逃したが、その5カ月前に代表チームの強化につながったテストマッチがあった
こうやって改めて大会を振り返ると、すごい座組だなと思います(笑)。現代に置き換えたら日本代表と川崎フロンターレが対戦し、そしてプレミア王者のマンチェスター・シティやタイ代表を招いて試合をするようなもの。しかも全国各地で開催されていたので、日程も中1日、2日の強行スケジュール。U-24日本代表は急な移動で……と言いましたが、それが当たり前の時代もあったんです(笑)。
そもそもテストマッチを各国のクラブと対戦するということすら、若い世代からしたら理解できないことでしょう。もちろん、今のカレンダー的にも実現は難しい。
でも、もし対戦したらワクワクしますよね。日本代表のレベルが上がっているのは間違いない一方で、「もしかしたら日本代表に……」と今のフロンターレを見ていると、ふと思ってしまいます(笑)。
【1985年キリンカップサッカー日本代表の結果】
5月26日@国立
vsウルグアイ(1-4●)
得点:木村
5月28日@岡山・県営陸上
vsウェストハム(2-2△)
得点:原、水沼
5月30日@東京・西が丘
vs読売クラブ(0-1●)
得点:(読)戸塚
6月2日@神戸・総合
vsサントス(1-4●)
得点:原
6月4日@名古屋・瑞穂
vsマレーシア(3-0○)
得点:柱谷幸、水沼、木村
当時のキリンカップで課題が浮き彫りになったことは、やがて強化に結びつきます。苦闘が続いていた日本代表でしたが、和司さんのフリーキックで有名な日韓戦が行われた最終予選まで進むことができました。結果としてはW杯出場という目標は達成できませんでしたが、とても意義のある大会だったと思います。
今も昔も代表チームは限られた時間・環境で行われるため、課題や悔しさをしっかりと結果に繋げないといけません。そういう意味では、完敗したU-24日本代表が中1日で行われたガーナ戦に大勝したことは素直に嬉しかった。
相手のレベルを考慮したとしても、良い形での崩しも多く、それぞれが伸び伸びプレーしていたように感じます。左サイドで先発したMF相馬勇紀(名古屋グランパス)のガッツポーズが全てを物語っていましたよね。本大会を前に、試合に臨む上でモチベーションがいかに大切か、それを再確認できたことは大事なことだと思いますよ。