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1985年にもあった異例の日本代表戦…水沼貴史が「凄くやりにくかった」と思い出す“ラモス・松木・都並がいた読売クラブ戦”、その結果は?  

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水沼貴史

水沼貴史Takashi Mizunuma

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photograph byKazuhito Yamada

posted2021/06/11 11:00

1985年にもあった異例の日本代表戦…水沼貴史が「凄くやりにくかった」と思い出す“ラモス・松木・都並がいた読売クラブ戦”、その結果は? <Number Web> photograph by Kazuhito Yamada

メキシコW杯アジア地区最終予選・韓国戦に挑む日本代表。惜しくもW杯出場を逃したが、その5カ月前に代表チームの強化につながったテストマッチがあった

 当時、日本代表はメキシコW杯アジア地区1次予選を突破し、同2次予選、最終予選に向けて強化を進めていた頃。マレーシア代表、ウルグアイ代表のほか、欧州からイングランドのウェストハム、南米からブラジルのサントスといった強豪クラブを招き、6チーム総当たり戦に臨みました。

 中でも最も印象深かったのが、前年度の天皇杯王者として参加した読売クラブとの対戦です。

 “日本サッカーリーグ最強”と謳われていた読売クラブには、松木(安太郎)さん、(加藤)久さん、都並(敏史)といった日本代表のメンバーが揃っていたので、いわば紅白戦に近い感覚。今回で言うところ、吉田麻也らOA組の状況と似ていますよね。

 そこに後に日本代表としてW杯予選にも出場する与那城ジョージさん、そして帰化する前のラモス(瑠偉)さんまでいた。みんな読売がいかに強くてうまいかということをで分かっていましたし、普段は日本代表の仲間であるメンバーに対戦相手として向き合わなければいけないことに違和感がありました。後にも先にもそんな経験はしたことがありませんから。

 日本代表としては絶対負けられない。一方の読売は失うものはありません。しかも、ラモスさんは「代表を食ってやろう」という意識よりも「何が代表だよ?」みたいな感じに思っていたんじゃないかな(笑)。それぐらい自分たちのサッカーに自信を持っていたはず。だから、我々としては凄くやりにくかったことを覚えています。U-24日本代表と近い心境だったかもしれません。

【出場メンバー】
《日本代表》
GK松井清隆
DF池内豊・石神良訓・岡田武史・田中真二
MF宮内聡・長澤和明・木村和司
FW平川弘(水沼貴史)・原博実・柱谷幸一

《読売クラブ》
GK中村和哉
DF松木安太郎・トレド・加藤久・都並敏史
MF小見幸隆・川勝良一・与那城ジョージ・ラモス
FW戸塚哲也・パターソン

決勝ゴールを決めた戸塚哲也

 読売クラブ戦、私は0-0の状況で途中出場しています(74分IN)。得点を期待されての投入でしたが、結局ゴールに絡むことができませんでした。そんな中でゴールを奪ったのが読売クラブの戸塚哲也。日本代表へアピールしたい思いもあったでしょう。彼もまた最終予選では代表として一緒に戦いました。

 日本代表には岡田(武史)さん、(木村)和司さん、原(博実)さん、長澤まさみパパ(長澤和明)らが揃っていましたが、戸塚の1点によって日本代表は敗戦。試合後に何を話したかまでは忘れてしまいましたが、悔しかった記憶だけは覚えています。大会の順位も読売クラブを下回る5位だったので、厳しいバッシングもあったでしょうね。

【次ページ】 フロンターレが日本代表に挑む?

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