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13歳でレアルから1億円超のオファー、16歳女性を妊娠させ、バルサと密約でサントス出禁… ネイマールの知られざるトラブル史
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byTakuya Sugiyama(L)/Getty Images(C,R)
posted2021/06/09 12:31
サントス、バルサ、PSG…所属クラブでスーパープレーを見せるネイマールだが、トラブルも多い
私生活では16歳の女性を妊娠させてしまう
一方、私生活ではごく短期間交際した16歳の女性を妊娠させてしまい、2011年8月、男の子が生まれた。しかし、この女性と結婚する気はなかった。19歳にして未婚の父となったが、子供を認知し、養育費を払うことで女性と合意。子供は母親と一緒に住むが、以後、いつでも子供に会える権利を確保した。
選手としてのキャリアは、至って順調だった。レアル・マドリーとバルセロナが激しい争奪戦を繰り広げた末、2013年5月、バルセロナへ。クラブは、移籍金を5700万ユーロ(約76億円)と発表した。しかし、後になって実際に移籍に要した金額が推定8820万ユーロ(約118億円)だったことが判明し、当時のバルセロナ会長とネイマールの父親の間での不正取引が疑われた。会長は辞任に追い込まれ、その後、別件もあって逮捕されている。
バルサ移籍の密約でサントスから“出禁処分”
また、ネイマールの父親がすでに移籍の1年半前の時点で将来のバルセロナ移籍を保証する密約を交わし、バルセロナから4000万ユーロ(約54億円)を受け取っていたことが発覚。サントスは、ネイマールと彼の父親に損害賠償を求めた。結果的にサントスの訴えは退けられたが、以後、ネイマール父子はサントスへ出入り禁止となっている。
バルセロナでは、大エースのリオネル・メッシに対して謙虚に振る舞い、良好な関係を築いた。2014~15年からの3シーズンは、ウルグアイ代表FWルイス・スアレスと3人で史上最高と評された超強力3トップを形成。「MSN」と呼ばれた。
代表では、2014年に母国で開催されたワールドカップ(W杯)でエースとしてチームを優勝に導くことを期待されたが、準々決勝のコロンビア戦で背中を負傷。ドイツとの準決勝に出場できず、彼を欠いたチームは1-7という歴史的大敗を喫した。
それでも、バルセロナでは2014~15年に欧州CL、スペインリーグ、スペイン国王杯の三冠を達成。このシーズンのクラブW杯も制覇した。2015~16年も、スペインリーグと国王杯の二冠を獲得。万事順調に見えたが、2017年8月、世界のフットボール史上最高となる2億2200万ユーロ(約297億円)の移籍金でパリ・サンジェルマン(以下、PSG)へ移って世界を驚かせた。
PSGへと移籍した2つの理由とは
移籍した主な理由は、2つありそうだ。まず、幼い頃から「世界一の選手になる」という野望を抱いていたが、「バルセロナでは、クラブ生え抜きのメッシがいる限り、いつまでたっても脇役から抜け出せない」と考えたであろうこと。また、息子の代理人となっていた父親が移籍によって多額のコミッションを得ようとしたことだ。
こうして、天文学的な額で世界中のどのクラブであろうと払うはずがないと思われていた違約金をPSGが負担することにより、電撃的に移籍。バルセロナの関係者とサポーターを激怒させた。サントスに続き、バルセロナも裏口から出て行ったのである。