小関は打者をよく観察する投手である。

　見逃したコース、スイングの軌道や球種での反応などを冷静に見極める。「ストレートを待っているな」と思えば、あえて真っ向勝負を挑む好戦的な一面も見せるが、白河実業の打者に「消える」と驚嘆させた、切れ味鋭いスライダーで効果的に空振りも奪えた。自信があったからこそ、不満だったのだ。

　現時点で国立大からのプロ入りを志す大型左腕は、試合後に「勉強も野球も、もっと頑張らないとダメですね」と頭を掻いた。ただ、わずか4イニングで、爪痕はしっかり残した。

見逃したコース、スイングの軌道や球種での反応などを冷静に見極める。小関は“打者をよく観察する投手”だ　©Genki Taguchi

勢力図を“進学校”が塗り替えるか？

　右の佐藤に左の小関。

　およそ1カ月後に訪れる集大成の舞台へ、「御三家エース」は今、雌伏の時を過ごす。

　福島県には、14年連続で夏を制している聖光学院が絶対王者として君臨する。ほかにも、学法石川や東日本国際大昌平、日大東北の強豪私学。福島商や光南ら公立の有力校も王座を虎視眈々と狙っている。

　勢力図を進学校が塗り替える。

　夢が夢でなくなるかもしれない季節。それが、夏である。