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記録で見る日米球界「ノーヒットノーラン最新事情」 大リーグでの異常発生と阪神・西純矢らの“無安打降板”に浮かぶもの

posted2021/05/24 17:01

 
記録で見る日米球界「ノーヒットノーラン最新事情」 大リーグでの異常発生と阪神・西純矢らの“無安打降板”に浮かぶもの<Number Web> photograph by Getty Images

マリナーズ戦でノーヒッターとなったタイガースのターンブル。ほどなくヤンキースのクルーバーも達成した

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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大谷翔平やダルビッシュ有の活躍によって大リーグへの注目度が日本でもアップしている。その中で生まれるMLBの記録を、日本球界と比較しながら楽しんでみよう(全2回/ホールド・セットアッパー編はこちら)

 今季のMLBは異様なノーヒットノーランラッシュになっている。まだ試合数は各チーム45試合前後、30%に満たない消化率なのだが、参考記録も含め7回ものノーヒットノーランが記録されている。

 MLBでは単独の投手のノーヒットノーランは、2017年の7回が最多だった。今年はシーズン序盤戦にもかかわらず、早くもこの記録を上回りそうな勢いだ。

 今季達成されたノーヒットノーランの内容を見てみよう。

<J.マスグローブ(パドレス)4月9日レンジャーズ戦>
0与四球1与死球10奪三振/112球
<C.ロドン(ホワイトソックス)4月14日インディアンス戦>
0与四球1与死球7奪三振/114球
<M.バムガーナー(ダイヤモンドバックス)4月25日 ブレーブス戦>
0与四球0与死球7奪三振/98球 (1失策 7回、※参考記録)
<J.ミーンズ(オリオールズ)5月5日 マリナーズ戦>
0与四球0与死球12奪三振/113球 振り逃げ1
<W.マイリ―(レッズ)5月7日 インディアンス戦>
1与四球0与死球8奪三振/114球 
<S.ターンブル(タイガース)5月18日 マリナーズ戦>
2与四球0与死球9奪三振/117球
<C.クルーバー(ヤンキース)5月19日 レンジャーズ戦>
1与四球0与死球9奪三振/101球

ノーヒットノーラン6例の似通った内容とは

 7回戦制のダブルヘッダーで達成されたバムガーナーの記録は参考記録だ。この参考記録を除く6例は、すべてアメリカン・リーグのチームを相手に達成された。レンジャーズ、マリナーズ、インディアンスがそれぞれ2回である。なお、マスグローブと投げ合ったレンジャーズの先発は有原航平、ミーンズと投げ合ったマリナーズの先発は菊池雄星だった。この偏りも異例である。

 オリオールズのミーンズは四死球も失策もなかったが、三振振り逃げで走者を出した。準完全試合と言ってよいだろう。

 こうして眺めてみると、参考記録を除く6例のノーヒットノーランは内容的によく似ていることがわかる。

【次ページ】 大野、千賀、菅野らNPBのノーノー内容を見てみる

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