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日本と正反対のイタリア “ワクチン事情”  着々と進む代表選手の接種に「優遇するな」の声が聞こえない理由 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2021/05/18 11:00

日本と正反対のイタリア “ワクチン事情”  着々と進む代表選手の接種に「優遇するな」の声が聞こえない理由<Number Web> photograph by Getty Images

ワクチン注射を受けたことを会見で報告したインモービレ

 イタリアの五輪代表選手の多くは、軍や警察機構が設ける特別部局に所属する公務員、つまり“国お抱えのアスリート”だ。ベッザーリは、かつて「フィアンメ・オーロ(=黄金の炎)」と呼ばれる国家警察の体育局付の職員だったし、リオ大会でパラリンピック代表団の旗手を務め、フルーレ競技で金メダルを獲得したキュートな女剣士ベアトリーチェ・ビオは職場の後輩にあたる。イタリア陸上短距離界の星フィリッポ・トルトゥの正式な職業は財務警察官だ。

 彼らが「五輪反対」を口にすることは、まずありえない。1年延期された上にコロナ禍での困難な予選を突破して、念願の五輪へのチケットをようやく手にした彼らの今の言葉は、どれも喜びとやる気に満ち満ちている。

 テコンドー男子80kg級(ライト級)代表として五輪に初出場する21歳のシモーネ・アレッシオは「目は開いているのに夢見てる気分だ!」と叫び、五輪出場通算4度目のイタリア女子体操界のベテラン、バネッサ・フェラーリは「東京から手ぶらでは帰らないわ」とメダル獲得に闘志を燃やす。

 選手たちは皆、目をキラキラさせながら、これまで待ってきたのだ、今こそ声を上げるときだと言わんばかりに「トーキョー! トーキョー!」と、来たるべき人生の一大イベントに期待する声を連呼している。無垢すぎるのでは、とこちらが老婆心を出したくなるほど、その期待は日増しに膨れ上がっている。

 ワクチン接種が進むにつれ、近所のバールで「日本はどうなの?」と聞かれることが多くなった。

 もう2年以上日本の土を踏んでいない僕は、正直何と答えればいいのかわからない。

 6月、アッズーリは夏の日差しに満ちたローマでEUROに臨む。

 7月、もしこのまま五輪開催へのカレンダーが進んだとして、東京に降り立つイタリア選手団の目には、何が映るのだろう。

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