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通信制高校→米国留学で肩を壊し帰国→国立大で税理士の勉強と並行して野球… 26歳145km右腕が無謀でもメジャーを目指す理由
text by
清水岳志Takeshi Shimizu
photograph byTakeshi Shimizu
posted2021/05/17 11:00
紆余曲折の野球人・広重怜。彼のピッチングはどこまで通用するか
心を揺さぶる川崎の言葉
そんな広重が好きな選手は1番がイチロー、2番目に川崎宗則だそうだ。その川崎の言葉に気持ちをかきたてられるという。実際、アメリカでの挑戦について川崎もこのように話していたという。
「野球は25歳から上手くなる。大学生までは若さ、身体的なポテンシャルでできる。年齢が上がるにつれ頭をつかったり技術、経験も加味されてきて、野球の深みで向上できる。でも日本の場合は高校、大学で辞めてしまう。もったいないとアメリカで感じた」
野球をやり切っていない広重にとって気持ちを揺さぶられないはずがない。まだ26歳である。
「メジャーのデビュー平均が25歳。日本の場合、その先がわからないのに20歳過ぎで辞める人が多い。もったいない。そもそもメジャーリーガーになりたかった。日本は年齢で区切られやすいけど、メジャーは年齢は関係ない。技量が上がればアメリカで勝負できると。チームメイトには申し訳ないですが、埼玉大の提携大もあるので、来年も半シーズンか1年ぐらいアメリカの大学に行こうと思ってます」
甲子園や六大学とは交わらず、整った球場も縁遠かったアウトロー。紆余曲折と下降上昇を繰り返し、スポンジのごとくなんでも吸収してきた。絞り出すタイミングを狙っている。究極の夢は“150を出してプロ行く”。それがツイッターでのアカウント名だ。
こんな青年がいてもいい。