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欧州SL崩壊後もセリエAが大モメ… ユーべサポ「恥を知れ」、マルディーニ「自分は蚊帳の外」、UEFAに楯突くコンテ、怒りのプロビンチア
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2021/05/04 17:02
地元紙トゥット・スポルトも欧州SL構想に「NO!」を突き付けた
「ミラン戦の前に選手たちと話したんだ」
欧州サッカークラブの歴史は、タイトルの数やメモリアルゲームだけじゃない。今回、欧州社会とファンが見せた“クーデター阻止”のような勝利こそが、しっかりと綴るべき重要な1ページだろう。
サッスオーロのデゼルビ監督が熱を込めて訴えたのは、そういうことだ。彼には、CLの舞台で思う存分采配を振るいたい、という指導者としての夢がある。
相手すらしたくない、とまで苦言を呈したうえに逆転勝ちして面子まで潰したのだから、金輪際、彼にはミランから監督就任の誘いはかからないかもしれない。たとえ、ミランがデゼルビにとって少年時代の7年間を捧げた愛着ある古巣であっても……。しかし、彼に後悔は微塵もないのだ。
「ミラン戦の前に選手たちと話したんだ。『人生には、自分の立場をはっきりさせるべきときがある』とね。もし、私が将来(欧州スーパーリーグの創設)3クラブの監督になれなくても問題ない。イタリアでも外国でも、自分で道を切り開くさ」
セリエAからの離脱を目論んだ3クラブに対して、処分の軽重はまだ決まっていない。残る過半数クラブの反感は強く、感情的しこりはしばらく残るに違いない。
ミハイロビッチ監督はお得意の皮肉調で
「出ていきたいなら、どうぞ出ていってくれ。残った17クラブでリーグ戦をやるさ」
ボローニャのシニシャ・ミハイロビッチ監督は、お得意の皮肉調で事件を振り返った。旧ユーゴスラビア内戦で本物の死線をくぐり抜けた男は、彼一流のアイロニーの中にいつも傾聴すべき金言を込めている。突き放しながら予言した。
「残念だが、もうここから先はファンがどうこうできるレベルの話でもないし、モラルの問題ですらなくなった。見てるがいい、欧州スーパーリーグ計画は3、4年もしないうちに再び姿を現すかもしれんぞ……」
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