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欧州SL崩壊後もセリエAが大モメ… ユーべサポ「恥を知れ」、マルディーニ「自分は蚊帳の外」、UEFAに楯突くコンテ、怒りのプロビンチア
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2021/05/04 17:02
地元紙トゥット・スポルトも欧州SL構想に「NO!」を突き付けた
会長に忖度したのかコンテはUEFAを大批判
だが、スーパーリーグについての意見を求められたコンテは、途端にUEFA批判を展開。同計画に一度は賛同した張康陽会長に忖度したのか、「UEFAも猛省するべき。選手へ投資するのはクラブなのに、代表戦ではレモンを絞るように選手たちが酷使される。UEFAはずるい。クラブへの分け前が少なすぎる」と捲し立てた。
スクデットを半分手中にしていても、毒を吐かずにはいられなかった。
そしてデゼルビから直接喧嘩を売られた格上のはずのミランは、あろうことかホームで1-2の逆転負けを喫した。
試合後のステーファノ・ピオリ監督は「(CL出場権争いに集中しているために)他のことを話すときではない。そのテーマについて、私は話すべき立場にない」と言及を避けた。
立場上、口をつぐむ方が賢明には違いない。だが、サッカー界全体が対峙した大事件について及び腰、との印象は否めなかった。
現地メディアが称賛したサッスオーロ
“スーパーリーグ(のレベル)に相応しいのは、ミランではなくサッスオーロの方だ”
計画へ断固反対姿勢をとった現地メディアはこぞって、デゼルビのチームを称賛した。
1点ビハインドで試合を折り返したサッスオーロは、慌てず騒がず、低く速くつないで回す円熟のパスワークを披露し、交代策も誤ったミランの守備陣を完全に崩した。
後半19分から出場したFWジャコモ・ラスパドーリは、カルチョの殿堂サン・シーロで決めた鮮やかな2ゴールを生涯忘れないだろう。
4月26日に第33節を終了したセリエAは、勝点68のアタランタがついに2位へ浮上。ナポリとユーベに勝点66で並ばれたミランは、直接対決の結果や得失点差によりまさかの5位へ転落した。
61ポイントの6位ラツィオまで含め、来季CL出場権争いの行方はまったく読めない。
「欧州スーパーリーグ」計画は頓挫した。
真夜中の計画発表から、誰もが驚くほどスピーディーにあらゆるアクションが進んだ。各国協会やリーグ機構は緊急で役員会議を実施し、コロナ禍にもかかわらずファンたちは団結して抗議活動を行った。
デゼルビ曰く「サッカー界のクーデター」は、たった3日間で収束した。