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欧州SL崩壊後もセリエAが大モメ… ユーべサポ「恥を知れ」、マルディーニ「自分は蚊帳の外」、UEFAに楯突くコンテ、怒りのプロビンチア
posted2021/05/04 17:02
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
「欧州スーパーリーグ事件」が発表されたとき、その創設12クラブにユベントスとミラン、インテルが名を連ねたイタリアでも、多くの批判と反対意見があがった。
その中で、とりわけサッスオーロのロベルト・デゼルビ監督による“試合拒否発言”は波紋を呼んだ。
4月19日の計画発表からわずか2日後の21日に、セリエA第32節でミランとの対戦を控えていた指揮官は、現場から最もストレートに激しい怒りをぶつけた。
「SLに加担するミランなんかと試合したくない」
「スーパーリーグに加担するミランなんかと試合をしたくない。サッカーは1人ひとり、万人に開かれたものであるべきだ。どこの何者であっても未来をつくれる可能性があり、より弱き者にも道を開く権利がある。それなのに12クラブがやろうとしていることは、“勉強していつかは外科医か弁護士に”と夢見る工場労働者の子供へ最初から門前払いを食らわすようなものだ。(参加クラブを選り好みして)『キミはよし、オマエはダメ』なんて、サッカーの本質を失くすのと同じじゃないか。私は本当にムカついている」
デゼルビは試合の前日会見という公の場において、名門3クラブ相手に名指しで喧嘩を売ったのだ。指導者としての将来を閉ざすかもしれないリスクは承知のうえで、それでも物申さずにはいられなかった。
「サッカーは私の命、人生そのものだ。12クラブだけのものにされてたまるか。私は何があってもサッカーを護る」
スーパーリーグ計画は、発表直後からUEFAやFIFA、各国協会を始め、世界中の監督と選手、OBやファンによる猛反発を招いた。
イギリスのボリス・ジョンソン首相、フランスのエマニュエル・マクロン大統領に歩調を合わせる形で、イタリアのマリオ・ドラギ首相も早々に「スポーツのもつ価値や社会的機能、国内リーグを守るため、FIGC(伊サッカー連盟)とUEFAを断固支持する」と声明を発表した。
また、ユベントスのウルトラス連合は「恥を知れ!」とアリアンツ・スタジアムに横断幕を掲げ、インテリスタのセレブたちはクラブの良心たるハビエル・サネッティ副会長へ計画撤退を訴える公開書簡を送った。