沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
【天皇賞・春】福永祐一の“ある決断”がワールドプレミアを優勝に導いた 「もう少しいいスタートをと考えていましたが」
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKyodo News
posted2021/05/03 11:45
混戦予想の天皇賞・春を制した福永祐一騎乗のワールドプレミア(中央)。1番人気に推されたディープボンド(左)は2着に入った
直線ではカレンブーケドールが先頭に立ち
ワールドプレミアは、3コーナーの下り坂で勢いがつく京都外回りの菊花賞を制した馬だ。勝負どころで内の狭いところに閉じ込められると、そのよさを引き出せなくなる。距離ロスを恐れず外に出したことにより、武器である息の長い末脚を存分に発揮する準備を整えることができた。
ディアスティマが先頭のまま、2周目の3、4コーナーを回り、直線へ。
カレンブーケドールが外からディアスティマに並びかけ、先頭に立った。
ディープボンドが馬場の真ん中からカレンブーケドールを追いかける。
その外からアリストテレスとワールドプレミアが併せ馬の形で伸びてくる。
外のワールドプレミアがアリストテレスを競り落とし、今度はディープポンドの外に併せてゴールを目指す。ワールドプレミアがディープボンドに3/4馬身差をつけ、先頭でゴールを駆け抜けた。
福永は18度目の挑戦で天皇賞・春初制覇
「最後はみんな脚が上がるようなタフなレースになりましたが、よく抜け出してくれました。全馬、死力を尽くしたいい競馬だったと思います。天皇賞という格式の高いレースを勝つことができて光栄に思います」
18度目の挑戦で天皇賞・春初制覇を果たした福永は、そう話した。
1周目が外回りで2周目が内回りというこの変則コース。福永はレース前、「3、4コーナーで動きが出てくるでしょうね。直線一気が決まるとは思えない」と話していた。直線の短いコースで、ロングスパートをかけて勝つにはこう乗るんだというお手本のようなレース運びだった。