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【NHKマイルC】グレナディアガーズと中内田師の特別な縁 「フランケル産駒はいつかやりたい」と思っていた理由とは
posted2021/05/08 11:00
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Satoshi Hiramatsu
春のGIシーズンも真っ盛り。今週末には東京競馬場で5週連続GIが幕を開ける。先陣を切って行われるのはNHKマイルC(GI)。3歳馬によるマイルのナンバー1決定戦だ。
ここに有力馬であるグレナディアガーズ(牡3歳)を送り込むのが栗東・中内田充正調教師だ。
1978年12月生まれだから現在42歳。調教師としては若い年齢だが、調教師免許を取得してからは今年ですでに10年目となる。
中内田師の実家は滋賀県にある信楽牧場。当時、場長だった中内田克二氏の次男として生まれ育った。オグリキャップが巻き起こした競馬ブームがひきがねとなり、競馬の世界に入る事を決意。当時まだ12歳だったが「やる限りはしっかり基礎から学びたいと考えた」と言う。
フランケル調教師は常にセカンドチャンスをくれる人
16歳でアイルランドへ渡り高校に入学。卒業後はイギリスで馬学科のある大学に入学し、毎日、勉強と厩舎での実践に明け暮れた。
「アマチュアライダーのレースに騎乗してリングフィールド競馬場で2勝しました。夏休みにはフランスでも乗りました」
4年後には無事に大学を卒業したが、日本には戻らなかった。今度はアメリカへ飛んだのだ。
「トップの下で学びたくて、当時、アメリカでナンバー1だったロバート・フランケル調教師にエクセサイズライダーとして雇っていただきました」
1年の半分をハリウッドで、残り半分をニューヨークで過ごした。管理馬の7割が重賞に出走するような大厩舎だったが、いきなり訪ねて来た日本人が一流馬に乗せてもらえる機会はなかった。それでも腐らずに与えられた馬を少しでも良い状態にしようと乗り続けると、やがて伯楽の見る目が変わった。徐々に重賞に出走する馬の調教も任されるようになったのだ。
「ボビー(フランケル調教師)には叱られた事もありました。でも彼は常にセカンドチャンスをくれる人でした」