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プロ野球巨人軍、ららぽーと、IKEAもここで誕生した…じつはスゴい“JR南船橋駅”の歴史「消えた船橋オートレース場は今…」
text by
鼠入昌史Masashi Soiri
photograph byMasashi Soiri
posted2021/05/03 11:02
JR京葉線の南船橋駅。船橋競馬場の最寄り駅のひとつ。船橋競馬場を訪れたが、同時に南船橋駅のスゴい歴史を知ることになった
この公園の中を散歩していると、「おやっ?」というものを見つけた。バラ園の入り口の横に、「読売巨人軍発祥の地」の大きな碑。なんだこれはと近づいて説明書きを読んでみる。ジャイアンツの前身である大日本東京野球倶楽部がアメリカ選抜チームとの対戦を控えて初練習をしたのが、谷津遊園内にあった野球場だったというのだ。このアメリカとの対戦が、沢村栄治がベーブ・ルースやルー・ゲーリッグをきりきり舞いにさせ、そのまま職業野球(プロ野球)の設立につながったという伝説の日米野球。つまりは、巨人軍発祥の地であると同時に、日本プロ野球発祥の地でもあると言いかえることができそうだ。
それにしても、巨人軍の発祥がこのような、言わば東京から離れた地であるとは驚きである。さらに調べてみると、当時の巨人軍の筆頭株主は読売新聞ではなく京成電鉄だったとか。谷津遊園があるのは千葉県習志野市。つまり、ちょっと歴史の歯車がずれていたら、東京読売巨人軍ではなく習志野京成巨人軍になっていたのかもしれない。
船橋競馬場を目指すべく、“裏口”の南船橋駅にやってきた今回の旅。思いもよらず、オートレース場やヘルスセンター、ザウスといった消えた施設の跡地を巡る旅になった。そして南船橋は、オートレース・ららぽーと・IKEAの発祥の地(IKEAは日本における、であるが)でもあった。そして巨人軍発祥の地まで……。こんな海沿い、古い地図を見たらほとんどが海の上という埋立地にも、これだけの歴史が隠されているのである。
(写真=鼠入昌史)