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プロ野球巨人軍、ららぽーと、IKEAもここで誕生した…じつはスゴい“JR南船橋駅”の歴史「消えた船橋オートレース場は今…」
text by
鼠入昌史Masashi Soiri
photograph byMasashi Soiri
posted2021/05/03 11:02
JR京葉線の南船橋駅。船橋競馬場の最寄り駅のひとつ。船橋競馬場を訪れたが、同時に南船橋駅のスゴい歴史を知ることになった
競馬場に向かうため、ららぽーとを目指すお客とともに動く歩道を行く。現在の船橋競馬場は無観客だし、訪れた日はそもそも開催日でもないので競馬ファンらしき人の姿は皆無である。コロナ前、たくさんのお客がGWにかしわ記念の観戦にやってきていたときは、ららぽーとのお客と入り乱れて大混雑だったのではないか。
動く歩道を進んでそのまま高速道路(東関東自動車道)の高架下をくぐる。大きなトラックがひっきりなしに行き交うあたり、この区間は湾岸地域、東京湾沿いの物流の大動脈の一部なのだろう。高架下の歩道橋から、ちらりと見える船橋競馬場。そこから競馬場の脇の道に出ると、ららぽーとの横を進んで約5分。船橋競馬場にたどり着く。件のごとく、無観客だし開催日でもないので最初の目的はこれで終わり、である。
南船橋には(5年前まで)オートレース場もあった
そこでもうひとつ気になるものがあった。競馬場の傍らには、地方競馬とともに“三競オート”を構成する競輪とオートレースの場外売り場がある。競輪はさておき、オートレースの売り場には「オートレースふなばし」と書かれた看板が掲げられている。
実は、南船橋には船橋競馬場だけではなく、オートレース場もあった。2016年まで、そこでレースも行われていたのである。船橋オートレース場の歴史は古く、創設は1950年。その当時は、船橋競馬場の内馬場(馬の走路の内側)に一周800mのダートコースを設けてそこでレースを行っていた。これが日本で初めてのオートレース場。すなわち、南船橋こそオートレース発祥の地であったというわけだ。ただ、エンジン音の響くオートレースと臆病な馬との共存は難しい。そこで1968年には近隣に専用の施設を設けてそちらに移転。2016年3月をもって廃止されるまでレースが続けられた。
と、つまりは南船橋駅の近くには現役バリバリの地方競馬場だけでなく、“廃オートレース場”もあるのだ。ならばそちらまで足を伸ばすべし。競馬場から踵を返し、オートレース場の跡地がある南船橋駅の反対側を目指すことにする。