競馬PRESSBACK NUMBER
プロ野球巨人軍、ららぽーと、IKEAもここで誕生した…じつはスゴい“JR南船橋駅”の歴史「消えた船橋オートレース場は今…」
text by
鼠入昌史Masashi Soiri
photograph byMasashi Soiri
posted2021/05/03 11:02
JR京葉線の南船橋駅。船橋競馬場の最寄り駅のひとつ。船橋競馬場を訪れたが、同時に南船橋駅のスゴい歴史を知ることになった
オートレース場の跡地には何がある?
今度はららぽーとから帰るお客と並ぶようにして歩いて再び南船橋駅へ。そこから改札はくぐらずに、駅の南側に出る。すると、どうやらこちらが駅の正面のようだ。駅前には大きな広場(……というか、雑草が生い茂る空き地)が広がっていた。その先にはちょっとしたタクシープールとURの団地。そしてIKEAのでっかい店舗が待ち構えている。ららぽーとにIKEAと、南船橋駅はギャンブルファン以外にとっても楽しい休日ショッピングの街なのである。筆者はオートレース場の跡地を目指す。
オートレース場の跡地はIKEAとそれに並んで建っている巨大なマンションの裏手にある。物流倉庫に囲まれたその一角が、かつての船橋オートレース場。今ではその面影はまったくなくなって、傍らでは何やら工事が行われ、子どもたちが遊ぶ公園になっていたりアイススケート場になっていたり。とにかくオートレース場がここにあったことを伝えるものはなにもない。わずか5年前なのに……。
かつてあった巨大施設「船橋ヘルスセンター」とは?
競馬場にオートレース場という、ギャンブル好きにはたまらない町であった南船橋。そして、この街にはじつはもうひとつの巨大施設があった。知る人ぞ知る、船橋ヘルスセンターである。
船橋ヘルスセンターは競馬場ができた5年後の1955年にオープン。“ヘルスセンター”の名からわかる通り、温浴施設を中心としたいわゆるスーパー銭湯のハシリのような施設である。といっても規模は巨大で劇場からゴルフ場、ボウリング場、テニスコート、遊覧飛行場、遊覧船、人工芝スキー場まであらゆる施設が集う一大レジャー施設がその本質であった。あの『8時だョ!全員集合』の公開収録が行われていたことも有名なエピソード。船橋オートレース場は、この船橋ヘルスセンターの施設のひとつだったサーキット場を改良したものである。いずれにしても、南船橋には競馬場だけではなく、巨大な集客施設があって多くの人が行き交っていた。競馬場&ららぽーと&IKEAという今の南船橋の姿は、急に降って湧いたものではなくて、昔から続く競馬場&オートレース場&ヘルスセンターの系譜を引くものだったのである。
ららぽーともIKEAも1号店「ザウス覚えていますか?」
といっても、実は南船橋駅の開業は新しい。京葉線の開業とともに1986年に駅が誕生。それまで、このあたりのあらゆる施設の最寄り駅は京成線の船橋競馬場駅であった。