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スペインに“89年ぶりの屈辱”…15年の長期政権レーブ監督が辞任表明 ドイツ代表はEUROで「最高のお別れ」ができるか
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2021/04/17 17:02
レーブ監督率いるドイツ代表は集大成を見せられるか
ミュラーやフンメルスら“過去のトリオ”をどう使うか
レーブ監督は2019年以降、世代交代を理由に3人の招集を見送り続けている。現代表のクオリティだって悪いわけがない。特に中盤センターはバイエルンのヨシュア・キミッヒとレオン・ゴレツカ、レアル・マドリーのトニー・クロース、マンチェスター・シティのイルカイ・ギュンドガンとワールドクラスの4人が揃っている。
前線にはバイエルンのレロイ・サネとセルジュ・ニャブリ、また、チェルシーのティモ・ベルナーとカイ・ハバーツと好選手がおり、17歳のフロリアン・ビルツ、18歳のジャマル・ムシアラと次代を担う逸材も出てきている。3人は"過去の人"というイメージもあるだろう。
とはいえ、現在のドイツ代表には1人で試合を決定できるような選手がいない。メッシ、ネイマール、ムバッペ、ハーランドのような選手はいないのだ。
ドイツの強さを支えてきたのは、いつの時代もチームとしてのまとまりであり、抜け目のなさであり、粘り強さであり、総合力の高さだった。
コーチングで多大な影響を与えるだけに
世代が変わり、優れた資質を持つ選手が集まり、将来への可能性をどれだけ語ろうとも、そうした自分たちの力を最大限に発揮するためには"コア"がなければならない。だからこそ、ミュラー、フンメルス、ボアテンクという経験豊富な選手たちが、象徴としていま望まれているわけだ。
ミュラーもフンメルスもボアテンクもピッチ上で味方選手を鼓舞し、戦い続ける姿勢を見せてくれるタイプだ。キミッヒやゴレツカがリーダーとして成長してきているところは評価できるが、彼らが不調に陥ることもある。3人ともか、2人か、1人かはわからない。ただ、無観客試合が続く今季はベテラン3人衆がピッチ上のコーチングでチームに多大な影響を与えているだけに、復帰の可能性は低くはない。
「まずは3試合に集中して、自分たちの立ち位置を見出す。チームにとって何が必要か。何が足らないのか。どうすればベストなチームを築けるのか。決断は5月にする。そして決断は監督がする」
レーブ監督はそう語っていた。自身最後の大会に可能な限りベストな成績を収めるため、レーブ監督はどのような決断を下すのだろうか。
ラストミッションの結末はいかに。