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スペインに“89年ぶりの屈辱”…15年の長期政権レーブ監督が辞任表明 ドイツ代表はEUROで「最高のお別れ」ができるか 

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中野吉之伴

中野吉之伴Kichinosuke Nakano

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posted2021/04/17 17:02

スペインに“89年ぶりの屈辱”…15年の長期政権レーブ監督が辞任表明 ドイツ代表はEUROで「最高のお別れ」ができるか<Number Web> photograph by Getty Images

レーブ監督率いるドイツ代表は集大成を見せられるか

FIFAランク65位の北マケドニアにまさかの敗戦

「僕はこれまで代表でずっと同じ監督の下でプレーしてきた。特別なことだと思う。長く、そして成功に満ちた時間だった。もちろん可能な限り最高のお別れを臨んでいる。それは僕らみんなの思いだ」

 注目のアイスランド戦は3-0の快勝だった。内容的にも素晴らしく、この調子でいけば本大会でも……と、メディアもファンもワクワクした。

 しかし、現在のドイツ代表にはまだ安定感がない。28日のルーマニア戦はレーブ監督が「ゲームコントロールはアイスランド戦よりもよかった」と振り返ったように好プレーを見せる場面はあったが、チャンスを作れど作れどゴールを決められず。勝つには勝ったが不完全燃焼だった。

 そして、3月31日にはUEFAランク65位の北マケドニアにまさかの敗戦を喫した。

 レーブ監督にとってはW杯予選で負けたのは初めてで、ドイツがW杯予選で負けたのは36試合ぶり。最後の敗戦は2001年9月のイングランド戦(1-5)。マイケル・オーウェンにハットトリックを許し、攻撃も守備も全く機能しないまま積年のライバルに後塵を拝した試合まで遡らなければならない。

 北マケドニア戦は疲れが感じられた。いや、間違いなくあった。ルーマニア戦後深夜の飛行機でドイツへ戻り、休みもしっかり取れずに迎えた試合だった。足が重く、いつものようにプレスをかけられなかった。だが、それにしても、だ。

システムをいじる必要はあったのか

 代表戦ともなれば、そんな状況で迎えなければならない場合もある。毎回毎回十分な休養と準備とで試合に臨めるわけではない。そうした前提条件を整理したうえで、試合への臨み方が求められるのである。

 主力選手をできるだけ固定して使い、コミュニケーションを深め、チーム作りをするというのは正しい。でも、疲れているのに疲れる戦い方をするべきだったのか。それまでの2試合でうまくいっていたシステムをいじる必要があったのか。そのあたりに疑問の余地が残るのも確かだ。

 いずれにしても欧州選手権前最後となるキャスティングの機会は終わった。本大会前にレーブ監督を解任すべきという声は今なお強いが、ここからは本戦にむけて全精力を注いで準備をしていかなければならない。

 そんな代表チームに対して、ドイツのファンが何よりも注目し、期待をかけられているのがトーマス・ミュラー、マッツ・フンメルス、ジェローム・ボアテンクのベテラン3人組が復帰するかどうかだ。

【次ページ】 ミュラーやフンメルスら“過去のトリオ”をどう使うか

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