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スペインに“89年ぶりの屈辱”…15年の長期政権レーブ監督が辞任表明 ドイツ代表はEUROで「最高のお別れ」ができるか
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2021/04/17 17:02
レーブ監督率いるドイツ代表は集大成を見せられるか
スペイン相手に89年ぶり「0-6」の屈辱
2020年11月17日、UEFAネーションズリーグでスペインに0-6で惨敗。この89年ぶりの大敗を受けて、さすがにレーブ監督も頭を悩ませたはずだ。それまでは2022年カタールW杯まで残る契約を全うする思いが揺らぐことはなかったはずだが、前述したように欧州選手権後に代表監督を辞める決断を下した。
今年3月に行われたW杯予選アイスランド戦前の記者会見では、「ワールドカップ予選をいい形でスタートさせるだけではなく、昨年11月に非常に悪い形で終わってしまったので、ポジティブな空気を見せたい」と口にした。さらに「スペイン戦は我々が本来持っているクオリティを大きく下回る自滅で、私もミスを犯した。あの試合を分析するだけでなく、基本的なところを改めて確認することが大事だ。守備のときにどのように対応すべきか、攻撃のときはどうなのか。(欧州選手権前の)準備期間に徹底してそのあたりに取り組むつもりだ」と、今後の展望についても述べていた。
ノイアーとレーブ監督の強い絆
辞任表明をしたことで気持ちもすっきりしたのだろう。最近は表情が生き生きしているように感じられる。もちろん、区切りをつけたことですべてがうまくいくわけではないが、レーブ監督の集大成となる欧州選手権に向けて、チームの気持ちがひとつになろうとしている点は大きなメリットと言えるだろう。
キャプテンを務めるGKマヌエル・ノイアーが「(レーブ監督は)非常にモチベーションがあり、野心に燃え、熱く、絶対にやってみせるという意欲を持っているよ。これからの試合や本戦に向けていいサインだと思う。僕ら選手も監督には成功に満ちた時代を素敵な終わり方で報われてほしいと思っている」と気合いを入れていたのが印象的だ。
ノイアーとレーブ監督の絆は強い。2009年、23歳のときに代表デビューして以来ずっとレーブ監督の下でプレーしてきているのだ。
ポジションを争うマルク・アンドレ・テア・シュテーゲンが、バルセロナで毎週のようにハイレベルなパフォーマンスを披露する一方でノイアーが調子を落とし、いつもの彼では考えられないようなミスが続き、「GKを交代させろ!」という批判が強くなってきても、その信頼関係が揺らぐことはなかった。