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<10日間で459球>「左脇腹が痛い」達孝太は100%投げさせない…天理監督はこうして決断した【センバツ】 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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posted2021/03/31 17:05

<10日間で459球>「左脇腹が痛い」達孝太は100%投げさせない…天理監督はこうして決断した【センバツ】<Number Web> photograph by KYODO

準決勝当日の事前練習でキャッチボールする天理エース、達孝太

「肩ヒジに問題はなかったんですけど、10日間で450球ぐらい投げているので、だいぶ張っているところもあった。本人には、明日、また状態を教えてくれとは言いましたが、スタッフの中では厳しいと思っていました。これから先のことを考えると、脇腹は怖いので」

 中村は常に「本人が投げられると言えば投げさせる。そこは、エースの思いを優先する」と言い続けてきた。即決しなかったのは、そんな中村なりのエースへの配慮だった。

 達は「投げられない」と言ったわけではない。だが、無言のうちにサインを込めていた。

「自分はメジャーリーガーになるという目標があるんで。この試合のことだけ考えれば、投げることはできた。でも1日でも長く投げたい。(今後の野球人生を見据えて)今、故障しても、まったく意味がないんで」

7回表に一度だけブルペンに入った

 中村は左脇腹の状態、今大会の疲労、将来のことと、達のあらゆる思いを汲み取り、投げさせないというジャッジを下した。

「達は、はっきりわかる子。(何かを尋ねて)ちょっと、どうしようかな、っていうときは、フリーズするというか、間が空く。そこは感じてあげないといけない」

 中村はどんな展開になろうとも、この試合で達が登板する可能性は「100%なかった」と語った。その方針は達にも伝えていた。だが達は7回表に一度だけ、自分の判断でブルペンに入った。

「勝てば、次の試合、投げるつもりでいた。明日に向けての感覚づくりという意味で」

 痛みはあったか問うと、こう答えた。

「ほとんど、なかったです」

 おそらく、ともに「今」と「未来」を天秤にかけた上でのギリギリの判断だった。

 もし、決勝に進んでいたら――。その仮定の質問に、中村は毅然としてこう答えた。

「本人が行けると言って、僕が見て問題がなく、トレーナーの人にも意見を聞き、今後、(左脇腹の)痛みが長引くようなリスクがなければ、当然、先発させていたと思います」

 エースを失った天理は0−2で敗れた。ただ、「4試合も試合させてもろうて、僕は大満足です」と語る中村の表情は、決勝で再び大きな決断を迫られる事態を回避でき、安堵しているようにも見えた。

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