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【神対応が話題】飯伏、棚橋との“夢の3ショット”でオカダが感じた「地獄とプライド」 地震直後の新日に思ったこと
text by
原壮史Masashi Hara
photograph byMasashi Hara
posted2021/03/25 17:02
飯伏幸太(左)と棚橋弘至(中央)との夢の3ショットを実現させたオカダ・カズチカ。プロレスラーとしてのプライドを見せた
その世界への没入を難しくさせる照明の下
最後にもう1つ。再開後は試合中も観客席の照明を落とされなかった。次に何かあれば試合は中止となり、隣の広場に避難することが決まっていたからだ。
明るさというのは、観客を現実に引き戻してしまう力を持っている。例えばWWEの日本公演では、メインイベントになると客席を照らしていた明かりが落とされ、それまでよりも暗くなったリングで試合が行われる。没入感が強まり、試合に集中した観客はより強い満足感を持ってその日を終えることになる。明るさはそれくらい重要な要素なのだ。
地震直後にジェイがベルトを盗んで結果的に観客をプロレスの世界に引き留めたが、再開後のその照明はその世界への没入をどうしても難しくさせるものだった。ふとしたタイミングでリング上から会場全体に目を引き戻されるだけでなく、目に入ったその明るさの由来は避難をするためのものだ。
しかし、その後に行われたデビッド・フィンレーvsウィル・オスプレイ、鷹木信悟vsEVILはどちらもそれを気にさせなかった。
飯伏、棚橋、オカダらが大きな役割を果たしただけではない。その後の2試合も観客を現実に引き戻すことなく、ゼビオアリーナ仙台という素晴らしい会場でまたプロレスを見たい、と思って帰路に就かせるものだったことを付け加えておきたい。
【2021年3月20日 ゼビオアリーナ仙台〈新日本プロレス:NEW JAPAN CUP 2021〉第4試合 6人タッグマッチ ○飯伏幸太、棚橋弘至、オカダ・カズチカ(10分26秒 カミゴェ→片エビ固め)●高橋裕二郎、KENTA、ジェイ・ホワイト】