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「松本さんは、バレーボールの化身ですね」40歳でもスタメン、進化を止めない松本慶彦の何がスゴい?
posted2021/03/24 11:02
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
SAKAI BLAZERS
バレーボールの沼にすっかりはまってしまっている。
2月21日のFC東京戦で、前人未到のVリーグ通算400試合出場を達成したミドルブロッカー、松本慶彦(堺ブレイザーズ)のことである。
2019年11月に、Vリーグ通算出場試合数の前記録保持者・山村宏太(現・サントリーサンバーズ監督)の352試合を超えてから、記録を更新し続け、3月21日の試合で408試合となった。
現役最年長の松本は、今年1月に40歳の誕生日を迎えた。ミドルブロッカーで40歳を超えてV1(V.LEAGUE DIVISION1)でプレーした選手は初めてだ。
堺のゴーダン・メイフォース監督は、「彼はレジェンドだ」と称える。
「細身の体でこれだけの長い時間試合に出続けられるというのは信じられない。チームの哲学として、ミドルブロッカーには毎試合10点以上取ってもらいたいが、彼はだいたいいつも10点以上取ってくれる。本当に素晴らしい選手」
「400試合はまだ通過点だと思う」
他チームのミドルブロッカーからも賛辞の声が相次いだ。
「松本さんは、バレーボールの化身ですね」
そう言うのは、日本代表で共にプレーした36歳の富松崇彰(東レアローズ)だ。
「バレーを自然体でやっているというか、生活の一部というか。あの人にとっては、400試合はまだ通過点だと思う。たぶん定年まで(笑)、600試合までやってくれるんじゃないですか。600試合の時に、僕はおめでとうと言いたいですね。松本さんは歳を重ねるごとに飛躍している。人間、進化することを諦めたら、退化するしかない。あの人はどれだけ年齢を重ねようが、進化できるところを探してやっていると思う。僕もこの年になってくると、あの人が希望です。『まだ松本さん頑張ってる』って」
松本のすごさは、40歳を迎えた今季も堺に欠かせない選手としてスタメンで出場し続けているところにある。しかもスパイク、ブロックともに昨シーズンよりも格段に成績が上がっている。スパイクは昨季の決定率46.9%から今季54.8%に上昇し、打数も大幅に増えた。ブロックでもランキング6位につけている。