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「レアルはミスしないんだよ」CLでアタランタが味わった力負け… それでも「俺らは攻めるサッカー」を貫く
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2021/03/19 11:00
レアル・マドリーとの差は如実だった。それでもアタランタは前を向く
可変3バックとオールコート・プレスを駆使して、グループリーグはアウェー3試合で無失点、堅守でも知られるアタランタにあるまじき軽率なミスだった。
マドリーのゴールは遠くなる一方だった
ガスペリーニは「1トップのムリエルの動きをよく見ろ」と即座に反撃の指示を出し、後半開始とともにFWサパタを投入したが、敵のゴールは遠くなる一方だった。
レアルが試合の主導権を完全に握った。
FWビニシウスは52分に決定機を外したものの、6分後に再びドリブルで仕掛けて見事PKをせしめた。これを主将のS・ラモスが冷静に決めて2-0とすると、アタランタの動揺は隠せないものに。
一糸乱れぬ正確さでコンパクトにまとまるレアルの守備陣は、難攻不落だった。67分と76分に2度あったFWサパタの決定機も、守護神クルトワの鋭い反応によりセーブされた。あらゆるポジションで、両チームの間にある個人能力の差が如実に現れた。
アタランタは83分にムリエルが技ありのFKで1点差に詰め寄ったが、わずか1分後に選手交代後のスキを突かれ、途中出場のFWアセンシオにダメ押しの3点目を決められた。試合は、事実上そこで終わった。
2失点目につながったPKを与えたDFトロイは意気消沈し、交代させられた後はベンチで呆然としていた。
ジダンの目は、笑っていなかった
2戦合計4-1。レアル・マドリーの完勝だった。
「選手たちは、キックオフから試合終了まで素晴らしい試合をしてくれた。アタランタにほとんど決定機を作らせず、特に守備面で素晴らしいゲームができたと思う。完璧な試合運びだった」
ベスト8進出を決めて喜んでいるはずの指揮官ジダンの目は、笑っていなかった。白い巨人は頂きだけを見ている。
敵陣でボールを奪い、素早くパスをつないで仕掛ける。アタランタの身上であるプレーを忠実にこなし、戦術的にも柔軟だったのはレアルの方だった。