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なぜ「受験塾の経営者」が“突然”サッカー代理人に? “異色の代理人”富永雄輔(38歳)とは何者か<ソン・フンミン&吉田麻也も所属>
posted2021/03/17 17:00
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
Getty Images
今、日本サッカー界で急拡大している代理人事務所がある。イギリス・ロンドンに本社を置く『CAA Base』だ。
もともとBase Soccerという名前だったが、一昨年にハリウッドのタレントエージェンシーCAAに買収されて現在の会社名になった。グループ全体でブラッド・ピットやレディー・ガガら芸能人とともにデル・アリやソン・フンミンらサッカー選手を抱える総合エンターテインメント集団が誕生した(以下、『Base』と略す)。
吉田麻也、武藤嘉紀はヨーロッパ移籍後に『Base』の一員になり、現在はシュミット・ダニエル(シント・トロイデン)、板倉滉(フローニンゲン)、齊藤未月(ルビン・カザン)、藤本寛也(ジル・ビセンテ)、町田浩樹、荒木遼太郎(ともに鹿島)、田川亨介(FC東京)、アンジェ・ポステコグルー監督(横浜F・マリノス)らも在籍している。
まだ日本代表選手は4、5人だが、アンダー年代の主力を次々に獲得しており、数年後にはA代表で一大勢力になる見込みだ。一部の関係者から「代理人業界の黒船」と呼ばれている。
なぜ「受験のカリスマ」がサッカー代理人に?
この外資系大手の日本担当を務めるのが富永雄輔(38歳)だ。
富永は厳しい審査をクリアし、『Base』所属の代理人になった。
「2017年頃から『Base』が日本での事業拡大に向けてパートナーを探し始めていたようです。そこで声をかけられ、最終的に僕だけが残り、正式採用されました」
富永は他の代理人と異なる“別の顔”がある。『進学塾VAMOS』を経営する教育者なのだ。「男の子の学力の伸ばし方」、「女の子の学力の伸ばし方」(ともにダイヤモンド社)といった著書が多数あり、毎年子供たちを難関校に合格させている「受験のカリスマ」だ。
「京都大学を卒業後、学習塾を立ち上げました。おかげさまで現在、吉祥寺、浜田山、四谷に校舎があり、幼稚園生から高校生・浪人生まで指導しています。
2021年の受験では7割以上の生徒が難関校に無事合格を果たしました。今は塾経営と代理人の二刀流で、生徒の進路面談の合間に、選手に電話するといった日々をすごしています。『麻布中学国語』という授業をやったあとに、味スタへ行ったこともありました」
ベルナベウに通った少年時代「いつかサッカーに関わりたい」
サッカーとの出会いは0歳のときだった。銀行に勤める父親がマドリードに赴任し、レアル・マドリーの本拠地「サンティアゴ・ベルナベウ」から徒歩2分のマンションに一家で移住したのだ。