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8時間睡眠と日本食で“心身を整え”、ドイツ語も「お堅いけど」流暢… 長谷部誠は“969歳の聖人級”に愛される
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byToshiya Kondo/Getty Images/Takuya Sugiyama
posted2021/03/13 17:03
浦和でもフランクフルトでもボルフスブルクでも、主力であり続けた長谷部誠はやはり偉大である
バインとハーゼ、浦和とドイツの縁
ウーベ・バインは1989年から1994年までアイントラハトに在籍した元ドイツ代表MFで、3シーズン連続でリーガのアシスト王に輝いたレジェンドです。そして件のサポーターはこうも記述していました。
「アイントラハトを去ったバインはどこへ向かったと思う? それは日本の浦和レッズというクラブだ。バインは浦和で1997年までプレーし、その5年後にハーゼは浦和へ加入。そして時を経て2人はフランクフルトで(OBと選手として)邂逅を果たしたんだ」
日本のサッカー事情に詳しい点も喜ばしいのですが、長谷部のことをクラブレジェンドと並ぶ存在と評価してくれているのが大変嬉しいですよね。
「来季もマコトのユニホーム買わなきゃ!」
と、この原稿を書いていたら、アパートメントの玄関をトントンとノックする音が……。ドアを開けると、大家のおばあさんが届けてくれた新聞の切り抜きが置かれていました。ロックダウンによる接触制限のため、お互い顔を合わせて会話するのを控えているのですが、大家さんはこうして目についた新聞を僕にくれるのです。
切り抜かれた新聞の大見出しは、もちろん長谷部の契約延長を報じるもので、左上には大家さんの字で「良い1日を!」と書いてありました。
直後、スマートフォンがメールを受信しました。発信者は息子が大のアイントラハト・サポーターであるドイツ人の友人です。その文面はこんな内容でした。
「マコトが今季で最後かも知れないと思って、いつもコスティッチのユニホームばかりを購入している息子にマコトの背番号20が刻まれたユニホームを買わせたってのに、これで来季もマコトのユニホームを購入しなきゃならなくなったじゃないか!(笑)」
契約更新が発表されるやいなや、あっと言う間に長谷部の話題に包まれる環境。今季のチームの上位躍進への期待、そして来季も長谷部の勇姿を観られる喜びも含め、フランクフルトの人々は今、“仲間”への慈愛に満ち溢れています。
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