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「見せましょう、野球の底力を」が重圧だった… 楽天・嶋基宏が苦悩から解き放たれた瞬間とは【3.11】
text by
間淳Jun Aida
photograph byJIJI PRESS
posted2021/03/11 11:03
「見せましょう、野球の底力を。見せましょう、野球選手の底力を」。嶋基宏を一躍有名にした言葉だったが、プロ野球選手として苦悩した期間もあったという
シーズン最終戦、空席が目立つ中で嶋が口にしたこと
シーズン最終戦の本拠地は空席が目立った。
「いつもなら満員になるのに。お客さんが納得できないシーズンだった表れなのかもしれませんね。勝ちたい気持ちはあっても、現実とは大きなギャップがあった」
嶋は試合後、ファンが帰ったスタンドを見ながら、悩み続けたシーズンを振り返った。口を突くのは反省の言葉ばかりだった。
「プロは結果がすべて。今年は底力を見せることができなかった。結果的にスピーチは口だけ。誇大広告でしたね」
チームとしても個人としても、東北への思いを結果で示すことはできなかった。激動の1年。悔しさを深く心に刻んだ。そして、2013年。苦労は実を結んだ。
被災地で誓った日本一。3年越しの約束を果たし、東北の人たちと喜びを分かち合った嶋。ようやく、重圧から解放された。
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