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楽天ドラ1・早川隆久はあえて自主トレで“頑張らなかった”…「しんどくなるよ」昨季セ新人王のアドバイス
posted2021/03/10 17:06
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
KYODO
「通算538勝ローテーション」
今季、楽天の先発投手陣の豪華さを、通算勝利数の合計で示している。
開幕投手が内定している涌井秀章が144勝。ヤンキースから8年ぶりに古巣復帰を果たし、開幕第2戦を任されている田中将大が177勝(日米通算)。そこに岸孝之の132勝、則本昂大の85勝と続く。4人の開幕ローテーション入りは、ほぼ間違いない。
この百戦錬磨の猛者が固める布陣に、ドラフト1位の早川隆久が加わる可能性が高い。
まだ「538」に変化はない。
ただし今季、この数字の上積みに貢献すること必至との声が大多数を占める。
昨年のドラフト会議で、投手で最多の4球団から指名されたゴールデンルーキーは、たった2試合で首脳陣を納得させた。
実戦デビューとなった2月20日の日本ハム戦で、2回1安打、無失点。2度目の登板となった28日の中日戦では、3回5安打、1失点(試合は降雨ノーゲーム)。ロマンを抱かせる最速155キロのストレート。スライダー、カーブ、カットボール、ツーシーム、2種類のチェンジアップと、多彩な変化球を操る「新人王候補筆頭」の左腕は、完成度の高さを証明したわけである。
早川の代名詞「細かすぎるルーティン」
その早川には、パフォーマンスを支える卓越した能力がある。
プランニングだ。
「高校の時から計画性を持って練習をしていましたし、試合なら登板日から逆算して臨んでいたので。そのための準備をするっていうのは、自分にとっては当たり前というか」
木更津総合を選んだのも、同校が掲げる「考える野球」に共感したからだ。のちに早川の代名詞となる、「細かすぎるルーティン」が生まれたのも高校時代だった。食事の内容から道具の手入れ、入浴、就寝時の服装。登板日には「体が完全に目覚めるのはいつか?」と、試合開始から逆算して起床時間を決めたり、その数はあまりにも多い。
これほどまで自分を綿密にプランニングするようになったのは、当時、広島に在籍していた前田健太(現ツインズ)からインスピレーションを得たからだと、早川は言う。