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【バスケ天皇杯】負傷者続出のなかでのA東京vs宇都宮、川崎vs三河…ファイナルラウンド展望
text by
吉川哲彦Akihiko Yoshikawa
photograph byB.LEAGUE
posted2021/03/11 11:00
A東京の特別指定選手・小酒部(神奈川大)。3月7日のSR渋谷戦では19得点とキャリアハイの活躍
野戦病院と化した川崎ブレイブサンダース
どのチームにも不可欠なインサイドで最も苦しんできたのが川崎ブレイブサンダース。外国籍選手が相次いでインジュアリーリストに入り、マット・ボンズやセドリック・シモンズと短期契約を交わしてしのいできた。ようやく当初の外国籍選手がチームに戻り、そのパフォーマンスも上がってきた矢先に帰化選手のニック・ファジーカスが腰痛を発症。3試合のみの欠場で事なきを得たが、今度はマティアス・カルファニが再び負傷してしまった。青木保憲も天皇杯ファイナルラウンドには出られず、直前の新潟戦で熊谷尚也も負傷と、A東京以上に野戦病院と化している。
ただ、チームはリーグ戦終盤に差しかかって順位を上げてきた。一時はA東京をかろうじて上回る東地区6位だったが、2月は千葉に敗れた後に7連勝を飾り、現時点ではCS圏内の3位。佐藤賢次HCも好感触をつかんでいる様子だ。
「これまで対戦チームからいろんなディフェンスをされてきましたが、その一つひとつに対応する力は積み重なってきている手応えはあります。どういう仕掛けをして、どこに起点を作って、最後にどうフィニッシュするかというイメージをしっかり共有して臨み、その通りにプレーをクリエイトできるのは、今までの積み重ねと選手の対応力だと思います」
準決勝で対戦するシーホース三河には、リーグ戦で3勝1敗と勝ち越している。怪我人もいるとはいえ、良いイメージで天皇杯に臨めるだろう。
その三河は4チームで唯一、シーズンを通して健康面の問題が特に表れていないが、2月のリーグ戦7試合のうち6試合までが今回の天皇杯ファイナルラウンドに出場するチームとの対戦で、その結果は2勝4敗。準決勝で激突する川崎には連敗を喫している。リーグ戦の順位も琉球ゴールデンキングスに西地区首位の座を明け渡したばかりか、その差は3月7日の時点で5ゲームまで開き、大阪エヴェッサと名古屋ダイヤモンドドルフィンズも背後に迫る状況だ。